欧州で始まる犯人捜しゲーム-キプロス預金課税案の大失敗で

ドイツとフランスの政府、欧州中央 銀行(ECB)、欧州連合(EU)欧州委員会の声を聞いている限り、 キプロスの銀行預金に課税するというとんでもない計画は誰の責任でも ないようだ。しかし、19日に瓦解したこの案は、16日早朝には満場一致 で支持されていた。

ドイツのショイブレ財務相が17日、欧州委とECB、キプロス政府 が普通の銀行口座にも課税する案をまとめたとARDテレビに語り、非 難合戦の口火を切った。「彼らはこれについて、キプロス国民に説明し なければならない」と述べた。

そのころにはキプロス市民が現金自動預払機(ATM)の前に列を 成し、手のひらに「NO」という文字を書いて突然の措置に抗議してい た。最も小口の預金者に関しては課税が免除されるように修正された後 もこの法案は、議会でただの1票の賛成も得られなかった。

政策を助言するリデファインのマネジングディレクター、ソニー・ カプーア氏は「キプロスをめぐる大失敗は典型的な犯人探しの様相にな ってきた」として、「誰かがどこかで決定をしたのだが、今となっては 誰もどこでもそんなことは決めていないという雰囲気だ」と話した。

キプロス国民の怒りを受けて他の財務相らも自身の無実を訴え始め た。フランスのモスコビシ財務相は10万ユーロ(約1240万円)未満の預 金を課税免除にすることを求めたと述べ、オーストリアのフェクター財 務相はECBがそれを不可能にしたと主張した。

フェクター財務相は18日、ECBが大口預金者の税率を低くするた めに少額預金への負担を重くしたのだと説明。ブリュッセルで15日か ら16日にかけての徹夜会議に参加したアスムセンECB理事は「課税の この特定の構造」をECBが主張したわけではないと無実を訴えた。

妥協案

10万ユーロを下回る預金への課税は自分の意見ではなかったと訴え るのはほかにスペインのデギンドス経済・競争力相やフィンランドのウ ルピライネン財務相。欧州委も20日、課税を含めたパッケージの「全て の要素」について全面的に良しとしていたわけではないと釈明。「決定 したのは加盟各国だ」と付け加えた。

ルクセンブルクのフリーデン財務相は全員の共同責任を主張。18日 のインタビューで、「全てのユーロ圏メンバー国」と欧州委、ECB、 国際通貨基金(IMF)が支持した「極めて難しい妥協案だった」と説 明した。

当局者の証言をつなぎ合わせると、こういうことだったらしい。ま ずドイツとIMFがキプロスの銀行の債権者と預金者に損失負担を求め る完全な「ベイルイン」を要求。この劇薬を回避するため欧州委が ECBを後ろ盾にして預金課税の案を持ち出した。そして、主にロシア からの大口銀行顧客を失うことを恐れたキプロス政府が税負担を2種類 の預金者の間に配分したということだ。

ブリュッセルの会合に出席していなかったメルケル独首相は犯人を ズバリと指摘した。首相は20日、ベルリンのドイツ商工会議所連合会 (DIHK)で、キプロスは「持続不可能な銀行事業モデルと決別しな ければならない」と言明。「リスクを取る銀行と誤った事業モデルで営 業する銀行は、それぞれの国ばかりでなく全ての国にとっての脅威であ ることを、われわれは皆知っている」と述べた。

原題:Europe Plays I-Didn’t-Do-It Blame Game on Cypriot Deposit Levy(抜粋)

--取材協力:Stephanie Bodoni、Alexander Weber、Patrick Donahue、Tony Czuczka、Mark Deen、Rebecca Christie.

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