公示地価:3年連続下落幅縮小、リート活性化-緩和強化で上昇期待も

国土交通省が21日発表した公示地価 (2013年1月1日時点)によると、全国の住宅地、商業地、全用途の地 価は3年連続で下落幅が縮小した。低金利を背景にした住宅需要や商業 地再開発で下支えされており、デフレ脱却を目指す安倍晋三政権の発足 で、今後は地価が上昇に転じるとの見方も出ている。

公示地価は、全国平均では住宅地が前年比1.6%下落(昨年2.3%下 落)、商業地は同2.1%下落(同3.1%下落)、全用途は同1.8%下落 (同2.6%下落)。08年のリーマンショックを機に住宅・商業・全用途 とも5年連続で下落したが、下げ幅は縮小。不動産協会の木村惠司理事 長(三菱地所会長)は、「不動産市場全体にようやく回復の兆しが見え 始めてきた」とのコメントを発表した。

安倍政権の発足で金融緩和強化の観測が強まり、余剰資金が流入し た東証REIT(不動産投資信託)指数は、年初来37%も上昇。今後は 地価への波及が注目される中、伊藤忠経済研究所の丸山義正主任研究員 は、安倍政権は「一般物価のデフレ脱却を目指しているが、当然資産デ フレのほうも反転する。来年以降の公示地価には、アベノミクスがプラ スの影響を与えるだろう」と分析している。

住宅地は住宅ローン金利の低さやローン減税で戸建住宅、マンショ ンの需要が堅調に推移、地価を下支えした。住宅着工件数は1月まで5 カ月連続で増加しているのに加え、不動産経済研究所の調査では、今年 の全国の新築マンション発売戸数は4年連続の増加となる見込み。デベ ロッパーは旺盛な需要を当て込んでいる。

東日本大震災の被災地も地価は回復傾向にあり、住宅の高台移転で 大きく値上がりしている場所も目立つ。宮城県の住宅地は下落から上昇 に転じ、岩手県、福島県は下落幅が縮小している。

オフィス市況

商業地では、好立地のオフィス街や再開発地域は下げ止まりつつあ る。都道府県別では、再開発事業が盛んな川崎市のある神奈川県が唯一 上昇(0.2%)に転じたほか、東京都は下落率が0.4%と前年の1.9%か ら縮小した。

賃料の先行指標となる都心のオフィス空室率(三鬼商事調べ)は昨 年7月からほぼ一本調子で改善。不動産サービスのDTZは、今年の東 京の大型オフィスビル供給面積は昨年の約40%にとどまり、賃料は7% 程度上昇すると分析する。

これに対し、森トラストの森章社長は、株高が進んでいるものの、 「実体経済の回復が追い付いていない印象で、オフィス市況は依然、賃 料見直しには至っていない」と慎重な姿勢。賃料回復には「成長戦略が 導く企業業績の回復」が欠かせないとしている。

公示地価が最も高かったのは、住宅地が東京都千代田区六番町で1 平方メートル当たり価格278万円(前年比変わらず)。商業地のトップ は同区の丸の内ビルディングと、中央区銀座の山野楽器銀座本店の2700 万円(同)だった。

黒田日銀

安倍政権の発足はJ-REIT市場の活性化につながっている。不 動産証券化協会によると、今年1-2月のJ-REITの資産取得公表 額はすでに5000億円と昨年1年間の1兆円の半分に達した。

緩和策の一環としての日銀によるJ-REIT購入に加えて、安倍 首相肝いりの黒田東彦・日銀総裁の就任も、相場(投資口価格)の下支 えになっている。黒田総裁は21日の就任会見で、物価上昇率2%の目標 について「達成すべきであるし、達成できると確信している」と強調。 J-REITを含め、さまざまな資産の購入についても「十分議論すべ きだ」と語った。

みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは、J-REITは 相場が急騰した結果、投資対象の物件取得が高水準で続いていると指 摘。その波及効果やローン減税の拡充もあって、「来年は地価の上昇傾 向が強くなるだろう」との見方を示した。

今回の公示地価は全国2万6000の調査地点が対象だが、福島県内 の17地点は調査を休止している。

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