日銀は新枠組みで国債購入拡大-歯止め設定も必要、野村総研・井上氏

野村総合研究所金融ITイノベーシ ョン研究部の井上哲也部長は、日本銀行は新体制発足により、従来の国 債購入の枠組みを変更するとの見方を示す一方で、財政規律維持のため に一定の歯止めを設定し、市場への説明が重要とも指摘した。

20日付で黒田東彦総裁、岩田規久男、中曽宏両副総裁による日銀新 体制が発足する。井上氏は18日のインタビューで、新体制について、 「2%のインフレ目標を達成するため、信用緩和を拡大し、資金量を出 していくことに重点を置く方向。手段としては国債購入の量を拡張する 余地はある」と述べた。金融緩和強化による金利面への効果を考慮し、 「より長い年限を買わないと意味がない」とも話した。

井上氏は1985年に日銀に入行し、中曽副総裁候補とともに金融市場 局でに金融調節業務に携わった。

日銀は現在、資産買い入れ等基金(APP)と、成長通貨の供給を 目的とした輪番オペの2つの手段で国債を購入している。APPは残存 期間1-3年、輪番オペは30年以下が対象だ。井上氏は、「対象年限を 5年、7年へと伸ばす場合、輪番オペとAPPとが重複するので整理す る必要がある」と指摘。2つを統合して目標を単純化すれば、市場参加 者が理解しやすいとし、「結果として、5-10年のレンジで買い入れが 増える可能性が高い」と分析した。

国債市場への影響については、「利回り曲線は日銀が買う領域ま で、もう少し低下する余地がある。今まで短い年限を買っていた投資家 が、利回りがつぶれたので、長い年限にシフトしているという議論もあ る」と語り、長い年限で一段と平たん化する局面があるとみている。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは18日に一時0.585% と、5日に記録した2003年6月以来の低水準に並んだ。

4月3、4日の次回金融政策決定会合前に緊急会合を開くことに対 しては懐疑的な見方を示し、「新総裁が就任会見で、執行部に政策の選 択肢を示唆して、議論を進めるように指示すれば良いと思う。4月第1 回目の会合で行動するのではないか」と述べた。

一方、日銀の緩和強化について、井上氏は「市場参加者がマネタイ ゼーションにより、財政ファイナンスしていると認識すれば、国債市場 は安定しない。金利低下を台無しにするので、日銀の説明の仕方が大事 だ」と警告した。「日銀の長期国債保有額を銀行券発行残高の範囲内に 抑える『日銀券ルール』に代わる、一定の歯止めや規則を考案すること に意味がある」と強調した。

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