全日空:東南アジアでM&Aや提携も、国際線拡充で-次期社長

4月に持ち株会社制に移行する全日 本空輸は、東南アジアで企業の合併・買収(M&A)や提携などを検討 する。ボーイング787の運航停止の影響を受けているものの、国際ネ ットワーク拡充は引き続き進める。

傘下の11社事業会社で中核となる全日空の社長就任が内定している 篠辺修副社長がブルームバーグ・ニュースのインタビューで、「イン ド、タイ、ミャンマー、そのほか路線を飛ばしている国などで、買収の 可能性を含めたさまざまな形で検討したい」と語った。「買収だけでは なく、パートナーがいれば提携の可能性もある」とも述べた。

全日空は昨年7月に実施した公募増資と第三者割当増資で約1700億 円を調達。新型機材調達やM&A、財務体質の強化などを目的としてい る。同社は現在、世界の3大航空連合でネットワークで規模最大のスタ ーアライアンスに加盟、さらに同じ連合内の米ユナイテッド航空と独ル フルトハンザ航空とは、それぞれ個別に共同事業を展開している。

篠辺氏はアジアでの提携について「現時点ではっきりと決まってい るものはなく、方針があるわけでもない。新規の投資については新たに 発足するホールディングスの担当となるだろう」と語った。

カニバリズム

持ち株会社制度移行について篠辺氏は、「全体の投資計画やブラン ディングなどはホールディングス、具体的な事業計画は個別の事業会社 と棲(す)み分けることでマーケットに即応できるようにスピード感を 出すことが狙いだ」と説明した。

全日空は現在、フルサービス・キャリアとしての全日空と格安航空 会社(LCC)としてのエアアジア・ジャパンを運営。関西を中心に展 開するLCCのピーチにも最大株主として出資している。複数ある航空 事業のブランドについて、「ビジネスモデルとして全く違うものが親子 の関係にあるのは限界がある。これを平行に置くことにした」という。

篠辺氏は、例えばLCCが東南アジアの路線を増やした場合に、全 日空との重複や商品・サービスの共食い現象である「カニバリゼーショ ン」を懸念する声がまず出てくると指摘する。ただ篠辺氏は「多少のカ ニバリゼーションは覚悟するしかない。大事なのはそのビジネスモデル がどう発展できるかをマーケットとの関係で判断するべきであり、それ を軸に据える必要性がある」と強調した。

B787早期運航再開も

同社は例年2月にグループ経営戦略を発表するが、今年は787の 運航停止を受け発表を延期している。昨年2月発表の計画では、13年度 は787を活用し欧米長距離路線とアジア路線を中心にネットワークを 拡充し、国際線便数は11年度比22%増を目指すとしていた。

篠辺氏は「来年度にはB787の戦力復帰を期待しているが、まず 1月までに用意した事業計画をどの程度変更しないで済むのかを見極 め、そこから徐々に取り組みたいと思っている」と述べ、4月中には見 直した経営計画を発表する考えを示した。その先は「新会社として議論 をやり直したい。最新のマーケット情報や導入が変更された機材計画な どを前提にやるつもりだ」と述べた。

全日空は現在、世界最多となる17機の787を保有。13年度は78 7以外の新機材引き渡し前倒しや退役予定機材の使用延長などで運航停 止の影響を埋める。運航停止で1月は約2週間で14億円程度の減収にな る見込み。篠辺氏は、2月以降の12年度の影響額は「数十億円規模」と 述べ、詳細は今年度の業績を発表する4月末の年度決算の時点で明らか にするという。同社は5月末まで国内、国際線合わせ787の欠航 は3601便としている。

米ボーイングは15日、都内の会見で787復帰のめどについて「数 カ月ではなく数週間」との認識を示したが、日米航空当局が試験飛行な どの結果を受けどの程度の時間をかけて運航再開を認めるのかは明らか になっていない。篠辺氏は米航空当局が試験飛行の実施まで認めたこと は「大きなステップだ」と述べる一方で、ボーイング側から問題箇所の 指摘とその解決作業手順や整備などの変更を指示するサービス・ブリテ ン(SB)が不可欠だと指摘する。

「SBがすぐ出るとはっきり決まったわけではないことから、社内 で復旧のプランを詳細に練るといった段階に来ているわけではなく、シ ミュレーションを行っているところだ。今後、どのような条件が付くの かを見極めたい」として運航再開については慎重な姿勢を示した。その 上で、787のデモンストレーション飛行や復帰最初の飛行では、自身 の搭乗も含め様々な安全性のアピールの可能性を検討したいと語った。

太田昭宏国交相は19日の閣議後の会見で、運航再開に向けた手続き について、ボーイング社は今後、試験や解析などで安全を立証し米連邦 航空局(FAA)に報告、国交省はFAAとともにそれらを審査すると 説明。「ボーイング社による試験と解析が始まったと認識しているが、 その後に各航空会社が必要な改修を実施して初めて運航が可能になるも のであり、安全性をしっかり確認し必要な作業を続ける」と語った。

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