フランスの高級リゾート地ドービル で2010年10月に行われた独仏首脳会談の妖怪が戻ってきた。ドービルで は、ソブリン債務の減免を債務危機対応のツールキットに盛り込むこと で独仏が合意したが、欧州のキプロス救済パッケージによって、その忌 まわしい記憶が再びよみがえった。債権者への損失の強制について、結 局それほど良いアイデアではないと欧州の指導者らが確信するのは、わ ずか1年2カ月後のことだ。

ドイツは今回、キプロスの救済資金100億ユーロ(約1兆2400億 円)を賄うために銀行預金への課税を強制し、新たなタブーを犯した。 市場は即座にドービルと同じように反応し、キプロスはユーロ圏の安定 にとって新たな脅威となった。

国際通貨基金(IMF)の元当局者で、現在は研究グループ「リス ボン・カウンシル」(ブリュッセル)のチーフエコノミストを務めるア レッサンドロ・ライポルト氏は「とてもプロとはいえない、中途半端で 急ごしらえの仕事に見える。どのようなシグナルを送ることになるか深 く考えもせず、暗闇を手探りで進んでいるかのようだ。危機管理のやり 方としては無謀だ」と警告する。

ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領(当時)がドー ビルの海辺を歩きながら言葉を交わした10年の首脳会談の後と同様、キ プロス救済策の発表を受けて、欧州と各国の当局者が自分の功績を誇示 する一方、合意そのものから距離を置き、罪をなすり合う応酬が始まっ た。

ドイツの強引な手法

ドイツのショイブレ財務相は17日のARDテレビとのインタビュー で、「われわれとしてはもちろん、10万ユーロまでの預金を保護する預 金保険を尊重したいところだが、『ベイルイン』に反対したキプロス政 府と欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)が今回の解決策を決定した。 キプロス国民に説明する責任は彼らにある」と語った。

しかし、キプロスの銀行システムを崩壊させてユーロ離脱に追い込 み、さらに大きな市場の混乱を引き起こしかねない一段と過激な「ベイ ルイン」をドイツが支持していた経緯について、ショイブレ財務相は口 をつぐんでいる。キプロス側はその強引な手法を批判し、ショイブレ氏 が40%の預金課税をある時点で要求していたことも、キプロスの当局者 が匿名を条件に明らかにした。

ブルームバーグがショイブレ財務相の側近の1人にこの件で取材を 試みたが、これまでのところ返答はない。

原題:Deauville Zombie Strikes as Cyprus Bank Tax Inflames Debt Crisis(抜粋)

--取材協力:Stephanie Bodoni、Jonathan Stearns、Marcus Bensasson、Patrick Donahue、Tony Czuczka、Boris Groendahl、Rebecca Christie、Svenja O’Donnell、Kasper Viita、Corina Ruhe.

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