JPモルガン鯨、損失隠す苦悶を吐露-「正気の沙汰か」と上司

ロンドンの鯨の異名を取っていた米 銀JPモルガン・チェースの元トレーダー、ブルーノ・イクシル氏は昨 年、保有ポジションからの1日当たり損失が帳簿に記載した2倍以上だ ったことを20人余りの同僚に電子メールで明らかにした。すると電話が 鳴った。

上司のハビエル・マルティンアルタホ氏だった。同氏は昨年3月20 日の電話で「どうしてこんなことをしたんだ」と詰問した。ポジション の損益を回復させることができないからだとイクシル氏は説明した。

「そうか。やってしまったことは仕方ない」とマルティンアルタホ 氏は返し、「私ならこんなことはしないのだが」と付け加えた。

62億ドル(約5900億円)を超える巨額損失につながったロンドンの 鯨事件の全容が明らかになるにつれて、こういうやり取りがJPモルガ ンの中の行われていたことが分かってきた。

両氏のやり取りは先週公表された301ページに及ぶ米上院常設調査 小委員会の報告書と600ページ近い電子メールや電話通話などの記録の 中に含まれている。議員らはこれらの資料を、JPモルガンと幹部らが 投資家と監督当局を欺いたことを示すものとして提示したが、JPモル ガンの従業員らが損失を隠しきれないと感じて苦悩していた様子も同時 にうかがわせる記録だった。

上層部との会議が「思いやられる」

当時チーフ・インベストメント・オフィス(CIO)部門の責任者 だったアイナ・ドゥルー氏、およびインターナショナルCIOの欧州・ アジア責任者だったアキレス・マクリス氏との会議が翌日21日に予定さ れていた。マルティンアルタホ氏はイクシル氏の電子メールのせいで 「明日が思いやられるな」と漏らしている。

JPモルガンの広報担当ジョゼフ・エバンジェリスティ氏はこの電 話の会話についてコメントを控えた。イクシル氏とマルティンアルタホ 氏の弁護士のコメントは得られていない。

メールは合成クレジット商品のポートフォリオによる1日当たりの 損失を4300万ドルとし、内部で報告している額と実際の市場ミッドプラ イスとの差が6億-8億ドルだとしている。

「言いにくいことなのは分かりますが」とイクシル氏。すると「私 には君の論理が理解できないね」とマルティンアルタホ氏が応じる。 「次に取る措置を決めるまでは損失を表に出したくないと、マクリス氏 は言っている」と述べた上で、「しかしもう手遅れだ。君が苦しんでい るのは知っている。自分は楽になりたいんだろう」とイクシル氏に語り 掛けている。

もう隠してはおけない

CIO部門の仕事はJPモルガンの余剰資金を使ってリスクを最小 化することだった。イクシル氏はクレジット商品に対して強気な取引を していたが、投資銀行部門は逆の取引をしており、CIOは追い詰めら れていたもようだ。

損失額が大き過ぎるため、もう隠してはおけないと理解を求めるイ クシル氏に対し、マルティンアルタホ氏は「何を言う。正気の沙汰では ない」と畳み掛けた。

同氏はまた、イクシル氏に「大丈夫か。疲れているんじゃないか。 よく眠れるか」などと気遣う面も見せた。

原題:JPMorgan Loss Drove CIO Rift as Whale Sought Peace, Call Shows(抜粋)

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