個人投資家の株式離れ進むBRICs-「出口への行進」か

ムンバイに住むニラブ・ボラさんが 6年前に持っていた250万ルピー相当のインド株は、その価値が約7割 目減りした。2人の子供の父親であるボラさんは生活費を投資で稼いで いるが、今は資金を国債につぎ込んでいる。

ボラさん(39)は2月26日の電話インタビューで、「小口投資家の 信頼感はどん底だ。市場を信頼していない」と話した。250万ルピーは 現在のレートで約440万円だ。

インドだけではない。ブラジルと中国、ロシアを加えた4大新興 国、いわゆるBRICs全体で個人投資家の株式離れが広がっている。 期待外れの決算と国による介入の拡大で、BRICs株は世界全体の株 式相場に4年連続で後れを取っている。

取引所のデータによれば、ブラジルでは個人投資家による取引 が1999年以来の低水準となった。ロシアの投資信託は1年4カ月連続で 資金が流出し、少なくとも96年以来の事態だ。インドでの資金引き揚げ はここ2年余りで最大で、中国では投資家が過去1年間に200万を超え る株式口座を空っぽにした。

世界を上回る経済成長が14年続いたBRICsではその間に国民が 前例のないほど資産を積み上げた。だが米国で個人投資家が株式市場に 復帰しつつある今、BRICs諸国の個人投資家の株式投資意欲は薄れ つつある。

米国のダウ工業株30種平均が最高値水準で取引されるのとは対照的 に、MSCI・BRIC指数は2007年に付けたピークを大きく下回って いる。期待外れの経済成長に加え、少数株主対策を当局がほとんど講じ ないことが背景だ。

ファンダメンタルズ

マーケットフィールド・アセット・マネジメント(ニューヨーク) のマイケル・ショール会長は2月27日の電話インタビューで、こうした 状況を「出口への行進」だと指摘。同社はブラジルとインド、中国の株 式相場が下落するのを見込んだ取引をしている。

MSCI・BRIC指数を構成する企業の59%余りが今年、アナリ スト予想を下回る四半期利益を発表しており、期待外れの決算は4四半 期連続を記録。ドイツ銀行の新興市場担当ストラテジスト、ジョンポー ル・スミス氏(ロンドン在勤)は2月26日の電話インタビューで、「国 民が投資できる分野の大きな部分でファンダメンタルズがあまり良くな いことが見て取れる」と述べた。

インドのシン首相が推し進める開放策の景気浮揚効果に対する期待 から、外国の資金運用担当者らは今年94億ドル(約8900億円)をインド 株に投じているが、ボラさんは政府が打ち出す政策への信頼を失ってし まった。人々は「投資資金を取り戻して逃げ出そうとしている」のだそ うだ。

原題:BRICs Abandoned by Locals as Fund Outflows Reach 1996 High (3)(抜粋)

--取材協力:Zhang Shidong、Ksenia Galouchko、Denyse Godoy、Paresh Jatakia、Shikhar Balwani.

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