米国債:10年債利回りは3週間ぶりの大幅低下-欧州懸念で

米国債相場は続伸。10年債利回りは 3週間ぶりの大幅低下となった。キプロスの銀行預金に課税するという 前代未聞の措置を受け、ユーロ圏の債務危機が再燃するとの懸念が強ま り、米国債への逃避需要が高まった。

10年債利回りは2営業日連続で2%を下回った。19日から2日間の 日程で開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)は、債券購入の継 続を決定すると予想されている。ユーロ圏財務相会合(ユーログルー プ)は16日、銀行預金への課税という前例のない措置を盛り込んだ100 億ユーロ(約1兆2500億円)規模のキプロス救済計画に合意した。

ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)のチーフ 債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「キプロス問題は最近では最 も大きく最も悪いニュースだった」と指摘。「市場は相場をいずれかの 方向に動かせるリスクがあることを認識し、欧州からのさらなるニュー スを待っている」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前営業日比4ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.96%。一時は9bp低 下と、2月25日以来の大幅な低下を記録した。10年債(表面利率 2%、2023年2月償還)価格は10/32上げて100 13/32。

30年債利回りは3bp低下の3.18%。一時は10ポイント低下した。

キプロス

欧州の当局者がキプロスの銀行預金課税について、柔軟な姿勢を示 唆すると、米国債は伸び悩んだ。欧州当局者らはキプロスが銀行預金課 税によって58億ユーロ(約7140億円)を捻出することを求める一方で、 小口預金者の負担軽減はキプロス次第だとの姿勢を示している。課税に ついての同国での採決は再び延期された。

バンク・オブ・モントリオール傘下BMOキャピタル・マーケッツ の政府債トレーディング責任者、スコット・グレアム氏(シカゴ在勤) は「キプロスをめぐる懸念はいくらか弱まったものの、このようなこと が波及するかどうかについて疑問が残っている」と語った。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ指数によると、米 国債リターンは年初から3月15日までにマイナス0.9%と、四半期ベー スとしては2012年第1四半期以来の大幅安となっている。配当の再投資 分を含めたS&P500種株価指数のリターンはプラス10%。

キプロスの街ではATM(現金自動預払機)の前に行列ができ、他 国でも資金流出が起こる懸念が浮上。欧州中央銀行(ECB)が昨年9 月に財政難の国を支える方針を表明して以来落ち着いていた市場は、再 び混乱する恐れがある。

「やや過剰反応」

トラディション・アシール・セキュリティーズのブローカー、ポー ル・ホルマン氏(ニューヨーク在勤)は「やや過剰反応かもしれない が、どこが困難な状況にあるのか、市場でドミノ効果が表れるのかどう か、世界市場にどのような影響があるのかが分かっていない。そのた め、米国債には引き続き買いが入っている」と指摘した。

ニューヨーク連銀は2036年2月-43年2月に償還を迎える14億6000 万ドル相当の米国債を購入した。FOMCは米国債と住宅ローン担保証 券(MBS)を月850億ドル購入する方針を示している。1月の会合で は労働市場が大幅に回復するまで継続する方針を示した。

FOMCは20日午後2時前後に声明と経済予測を発表し、バーナン キ連邦準備制度理事会(FRB)議長は午後2時半から記者会見する予 定。FRBは今回の見直しについて、「情報の公表とともに議長の四半 期ごとの記者会見がより円滑になる」とコメントしている。

ヘッジファンドは米10年物国債に対して2007年以降で最も強気だ。 米国の失業率が4年ぶりの低水準となり家計の資産は増加しているもの の、米経済は脆弱(ぜいじゃく)で金融当局が資産購入を停止すること はないとの読みが根拠となっている。

米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、リターン向 上を狙って借り入れた資金、いわゆるレバレッジドアカウントを利用す る投資家は今月5日までの1週間、米10年債先物の上昇を見込んだポジ ションを562億ドル(約5兆3300億円)保有。これは信用市場が機能不 全となってリセッション(景気後退)に陥り、国債価格が上昇する直前 の07年8月以来の大きさだ。昨年7月時点では、米国債の下落を見込む ポジションが上昇を見込むポジションを上回っていた。

原題:Treasury Yields Drop Most in Three Weeks Amid Concern on Europe(抜粋)

--取材協力:Liz Capo McCormick.

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