【今週の債券】長期金利は2週ぶり0.6%割れか、日銀新体制で緩和強化

今週の債券市場で長期金利は約2週 間ぶり低水準の0.6%割れとなる展開が予想されている。日本銀行が新 体制の下で金融緩和を強化するとの観測を背景に金利低下圧力が掛かり やすいためだ。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが15日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.56%-0.65%となった。0.6%割れとなれば、10年ぶり低水準 を記録した5日以来となる。前週末終値は0.62%。

前週、日銀の正副総裁の国会同意人事案が衆参両院で可決され、20 日付で黒田東彦総裁、岩田規久男、中曽宏両副総裁がそれぞれ就任す る。大胆な金融緩和の実行でデフレからの脱却を目指す新体制がスター トすることになる。市場では、黒田氏が日銀総裁就任後に臨時の日銀金 融政策決定会合を開いて、次回の4月3、4日の定例会合前に追加緩和 に踏み切るとの観測が出ている。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、仮に黒田総裁が臨時会 合を招集した場合、緩和前倒しへの憶測からショートカバーが誘発され やすくなると指摘。「市場は、日銀の次の一手は国債買い入れ増が主で あることは織り込んだが、対象年限の長期化に関してまだコンセンサス を形成できていない」と言う。

一方、黒田新総裁が4月9日以降の5年間の新任期に対する国会同 意を得るのは3月下旬となる見込みだ。SMBC日興証券の末沢豪謙チ ーフ債券ストラテジストは、過度なリフレ政策に反対姿勢を示し、岩田 副総裁候補へ反対票を投じた民主党が、黒田氏にも反対票に転じるリス クを勘案すれば、拙速は避けるとの見方を示している。

今週は流動性供給入札のみ

今週は19日に既発物国債を追加発行する流動性供給入札(発行 額3000億円程度)が予定されているが、10年利付国債など主要な入札は 実施されないことから需給が逼迫(ひっぱく)しやすい。需給環境の改 善も債券相場の支えとなる見込み。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は6月物、10年国債利回りは328回債。

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物6月物144円70銭-145円60銭

10年債利回り=0.56%-0.65%

「長期金利0.6%割れでは買いが慎重になるが、じわじわと金利低 下が進みそうだ。日銀新体制で黒田氏の発言に注目。長めの国債購入の 規模や日銀券ルール、国債以外の買い入れ資産など、どの程度具体的な 発言があるかによって6-7割程度進んだ国債購入拡大の織り込みがさ らに進む。需給面では年金基金のリバランスの買いや大量償還に伴う再 投資などが続く。来期を見据えて銀行が運用を開始する可能性もある」

◎みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャー

先物6月物144円90銭-145円50銭

10年国債利回り=0.59%-0.65%

「長期金利は0.6%台前半での推移か。金利低下に伴う含み益はで きるだけ来期に持ち越したい意向が強まりそう。日銀の緩和強化の期待 に伴う需給逼迫というより、来週は売り手不在による好需給のイメージ があり、週間では0.6%台後半には上昇しないとみている。超長期ゾー ンは引き続き不安定な展開。流動性が落ちているので買いが入ると金利 低下の方向に動きやすい」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長

先物6月物145円00銭-145円40銭

10年国債利回り=0.60%-0.65%

「このところ国内株価は堅調推移となっており、米国債利回りも低 下しづらい感じだが、日本や欧州では金融緩和観測が根強いほか、超長 期ゾーンへの平準買い(一定金額を分散しながら購入する)が相場の支 えとなりそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)では、量的緩和第 3弾に対する出口の議論があるか注目される」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

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