外された脱原発派委員たち-新体制でエネ政策議論がスタート

年内の策定を目指し、新たなエネル ギー基本計画をめぐる議論がきょう再開する。経済産業相の諮問機関・ 総合資源エネルギー調査会総合部会では、脱原発派の委員を民主党政権 時代の4分の1に減らして電源構成における原発の割合などについて検 討を開始する。

民主党前政権でエネルギー基本計画について議論した同調査会基本 問題委員会では、合計25人の委員のうち8人が脱原発派だった。「2030 年代末までに原発ゼロ」の目標を掲げた前政権の政策を「ゼロベースで 見直す」としている安倍政権では、15人の委員からなる総合資源エネル ギー調査会の総合部会が担当する。前身の基本委員会からは三村明夫委 員長(新日鉄住金相談役)をはじめ10人の委員が残った。しかし、その うち脱原発支持の立場を明らかにした委員で残ったのは2人にとどま る。

茂木敏充経産相は3月1日の会見で、人選について「重視したのは 個々の問題についてイエスであるとかノーであるということより、各分 野での専門性」と話した。その上で「個々の問題について、白組や紅組 ということで議論が分かれることを期待しているわけではない」との見 解を示した。

歴史的失敗

委員から外れた脱原発派の飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所 所長)は、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、委員長の三 村氏が「3.11の前から原発行け行けどんどんの政策を作った張本人だ」 と指摘する。

飯田氏は、当時の枝野幸男経産相が最終的な判断をするという前提 で委員長を三村氏にしたことは、「東条英機を戦後復興の責任者にあて たようなものだ」と強調した。さらに「最後は自分で決めると言って、 結局決められなかったのは、枝野氏の歴史的な失敗」と批判した。

脱原発派で委員会のメンバーから外された高橋洋氏(富士通総研主 任研究員)は、原発の割合を「半分にするという計画を作る人は今はい ないだろう。電力会社ですらやらないと思う」との見解を示す。ゼロに はしないというのが「自民党政権の強い意志」であり、新たなエネルギ ー基本計画における原発の割合は「20%なのかとか、15%なのかとか、 その辺の議論になるのでは」と予想する。

11年10月以降、33回の基本問題委員会の会合を開催して検討が重ね られた。民主党政権が原発ゼロ目標を発表した4日後の昨年9月18日の 会合で、三村氏は経済や雇用、国民生活への「副作用があまりにも大き 過ぎる」ため、「我が国が原子力を放棄するという選択はなすべきでは ないと思っている」と初めて自身の考えを明らかにした。

その後、衆議院解散を2日後に控えた11月14日まで、約2カ月間会 合が開催されることはなかった。三村氏は同日の会合開始前、記者団に 対し政局は「基本的には我々の検討には影響しない」との認識を示して いた。

基本問題委員会の脱原発派委員だった伴英幸氏(原子力資料情報室 共同代表)は、9月以降会合が開かれなかったことから「委員長の責任 は大きいので、解任すべきではないか」との考えを経産省側に電子メー ルで伝えた。伴氏は「三村氏が原発ゼロ政策を個人として容認できない ということで、委員長の権限を使ったとしか言いようがない」と批判し ている。

伴氏は自民党政権が原発ゼロ政策を見直すというはっきりとしたメ ッセージを打ち出していたことなどから、新たな委員会入りの依頼を断 った。新日鉄住金の広報を通じて三村氏への取材を試みたものの回答は 得られなかった。

自民党政権下でのエネルギー基本計画策定に向けた初めての議論 は15日午後6時30分に始まる。

--取材協力:岡田雄至 --Editors: 淡路毅, 小坂紀彦

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE