アベノミクス春闘、満額回答やボーナス増相次ぐ-景気浮揚期待

デフレ脱却を目指す政府が企業に賃 上げを要請する中の今年の春闘で、自動車や電機など主要企業が13日、 労組要求に対して一斉に回答した。円安の恩恵を受ける自動車大手3社 をはじめ、満額回答や年間一時金(ボーナス)の増額が相次ぎ、消費拡 大を通じた景気浮揚への期待感が高まりそうだ。

自動車各社や自動車総連の発表資料によると、トヨタ自動車のボー ナスは労組要求の基準内賃金5カ月+30万円の相当額の205万円で、前 年比では約15%増。日産自動車、ホンダのボーナスはそれぞれ3.9%増 の204.1万円、19%増の217.1万円となる。新興国などの販売拡大や円安 進行が業績面の下支え材料となった。

電機業界でも、日立製作所がボーナスを160.4万円とし、労組要求 は下回ったものの、前年比で1.5%増額した。一方、三菱電機は同8.7% 減の145.2万円となるなど、業績動向などで明暗が分かれた。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「今年の春闘 で賞与や賃上げが顕在化したのは一部だが、為替がこのままいけば来期 はもっと期待できる」と述べ、「この流れが継続すれば日本経済全体が 浮上する」と期待を示した。電機については円安メリットがあり、「来 年以降は賃上げが期待できる」と指摘。「今までは経営者心理が悪く、 キャッシュをため込んでいた。心理が変われば賃金を上げようという動 きも出てくる」とみている。

リテールが先陣

デフレ脱却を掲げる安倍晋三首相は2月、官邸で財界関係者と会 い、「業績が改善している企業には報酬引き上げの取り組みをご検討い ただきたい」と要請。その後、セブン&アイ・ホールディングスやニト リホールディングスなど内需型企業を中心にベアを含めた賃上げに踏み 切る企業が相次いでいる。

大手自動車などの今年の春闘をみると、ベースアップより、もっぱ らボーナスで従業員に報いる傾向が顕著だ。厚生労働省の賃金構造基本 統計調査(全国)によると、12年の賃金(月額基本給と諸手当)は29 万7700円で、20年前に比べて8.2%増と緩やかな変動となっている。

自動車総連のウェブサイトによると、トヨタのボーナスは07年 に250万円超まで増加したが、その後は11年を除き対前年比で下落を続 けていた。今年の妥結額は08年以降では最高となった。トヨタはリーマ ンショック以降に発生した大規模リコールや東日本大震災など難題克服 に取り組んできた。今期(13年3月期)業績は、米国や新興国の需要好 調や円安進行などを背景に順調に伸びる見通し。2月には今期の業績予 想を上方修正していた。

いちよしアセットの秋野氏は、政府が目指す賃上げについて「最終 的には、非正規社員の給与を上げる必要がある」と指摘し、「非正規社 員が増加しており、春闘で正社員の給与を上げただけでは意味はない」 とコメントした。

--取材協力:Ma Jie、萩原ゆき、山口祐輝. Editors: 浅井秀樹, 平野 和

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