「燃える氷」からガス生産に成功、世界初-企業株価は急騰

政府は「燃える氷」ともいわれる資 源メタンハイドレートからの、海上での天然ガス生産に世界で初めて成 功した。試験を行っていた経済産業省所管の独立行政法人石油天然ガ ス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は12日午前9時30分ごろにメタ ンガスの生産を確認した、と発表した。これを受けて、関連企業の株価 は急騰した。

JOGMECは1月から、産業技術総合研究所、石油資源開発と共 同で1月から愛知県沖約80キロメートルの海域で試験の準備に取り組ん でいた。メタンハイドレートは、天然ガスの主要な成分であるメタンを 水の分子が取り囲んだ物質で、低温で高圧の海底下や凍土下に存在す る。JOGMECは、この周辺海域に日本の年間ガス消費量の約14年分 相当のメタンハイドレートが存在すると試算しており、政府は2018年度 の商業化を目指している。

12日午前5時40分ごろに開始された試験では水深1000メートルの海 底からさらに約300メートル下にあるシャーベット状のメタンハイドレ ート層を、海底下でガスと水に分解。深海掘削船「ちきゅう」が減圧法 と呼ばれる方法でガスを海上まで吸い上げて生産を確認した。 JOGMECは3月末までガス生産を継続することを予定している。

生産に成功したとの発表を受け、石油資源開発の株価は一時前日 比15%高の4560円まで急騰。このほか、同社から掘削工事を請け負った 国内唯一の海洋掘削専門会社、日本海洋掘削の株価もストップ高となり 上場来高値の6480円で取引を終えた。

日本近海に100年分

エネルギー経済研究所石油ガスユニットの森田裕二研究理事は、 「日本近海には日本の天然ガス消費量の100年分相当があるとも言われ ている。この数字には、去年あることが分かった日本海側のメタンハイ ドレートが含まれていない」と指摘し、「今後もいろいろと調べていく と、日本周辺の海域のいろいろな場所で見つかる可能性はある」と期待 感を示した。

東日本大震災から2年がたち、日本を取り巻くエネルギーの状況は 一変した。原発の停止が長期化したことで液化天然ガスや石炭、原油、 重油など火力発電用燃料の調達コストは大きく膨らみ経済に重くのしか かった。財務省の貿易統計では、10年には3兆4718億円だった日本の液 化天然ガス(LNG)の輸入額は12年に6兆14億円まで上昇。1月には 過去最大の貿易赤字を記録、3か月連続の経常赤字となっている。

日本版シェールガス革命となるか

輸入を少しでも減らすことができるような自国内でのエネルギー資 源の確保は日本にとって悲願のプロジェクトだ。しかし、森田氏は「日 本版シェールガス革命との声もあるし、そうなればいいなとは思うが、 過大な期待は禁物」と注意を促す。

減圧法という技術自体は、日本とカナダが共同で08年に行った試験 でも実証済み。カナダの陸上の永久凍土層にあるメタンハイドレートか らガス生産に成功している。森田氏は「短い時間であればガスを取り出 せても、これが商業生産できるような継続的な生産を保証するものでは ない」との見方を示した。一方で、生産に必要なコストについては、実 用化までにある程度減らすことは可能とみており「それほど問題になる とは考えていない」と話した。

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