円が3年7カ月ぶり安値更新、日銀緩和前倒し観測で

東京外国為替市場では、円が対ドル で3年7カ月ぶり安値を更新。日本銀行による金融緩和の前倒し観測が 浮上し、円は売りが先行した。

ドル・円相場は1ドル=96円前半から一時2009年8月以来の水準と なる96円71銭まで円売りが進行。もっとも、その後は円の下落も一服 し、日本株がマイナスに転じる中、午後は円が下げ渋る展開となった。 午後3時27分現在は96円39銭前後。

ウエストパック銀行のストラテジスト、イムリー・スパイザー氏 は、ドル高・円安進行の背景には「日銀の金融緩和行への期待」がある とし、日銀幹部候補者の発言は「以前よりもずっとアグレッシブ」だと 指摘。「市場は彼らの行動ももっとアグレッシブになるのかどうかを見 たがっている」と話した。

ユーロ・円相場は1ユーロ=125円後半から一時126円04銭と、2 月13日以来の水準まで円安が進行。しかし、126円台での滞空時間は短 く、同時刻現在は125円49銭前後となっている。

一方、ユーロ・ドルは前日の海外市場で1ユーロ=1.30ドル半ばま でユーロ買いが進んだが、この日の東京市場では1.30ドル前半までユー ロが伸び悩む展開となった。

参院の所信聴取

政府が次期副総裁候補として国会に提示した岩田規久男氏は12日午 前の参院議院運営委員会での所信聴取で、デフレ脱却へ向け大胆な金融 緩和が当分の間、必要だとの認識を示し、政策金利が実質ゼロ%である ことを踏まえて、「量的緩和を進める必要がある」と述べた。

前日には次期日銀総裁候補の黒田東彦氏が参院での所信聴取で、日 銀が掲げる物価上昇率2%の目標を「1日も早く実現することが何より も重要な使命」と発言。デフレ脱却へ「やれることは何でもやる」との 考えをあらためて示した。

共同通信は、黒田氏が所信聴取で、追加金融緩和は「スピード感が 非常に重要だ」と述べたことを受け、新体制が20日に発足した直後に臨 時の金融政策決定会合を開き、追加緩和に踏み切る可能性が出てきたと 報じた。

RBCキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、マイケル・ ターナー氏(シドニー在勤)は、日銀の新執行部が前倒しで金融緩和に 動くかもしれないとの観測が出ているとし、「黒田氏が実際に4月4日 の会合かその前に緩和するまで、円は売り優勢の展開が続くかもしれな い」と語った。

期待先走り

一方、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨 ストラテジストは、「期待がすごく先走っているという印象で、期待は いずれはげる」と指摘。日銀新執行部による金融緩和も市場が織り込ん でいる以上のサプライズは出にくいと言い、目先はむしろドル・円の調 整リスクを気を付けるべきだと話した。

11日の米株式相場は、ダウ工業株30種平均が5営業日連続で最高値 を更新。S&P500種株価指数は過去最高値にあと9ポイント未満に近 づき、ボラティリティ指数はほぼ6年ぶりの水準に低下した。また、米 国債相場は下落し、10年債利回りは終値ベースで11カ月ぶり高水準とな った。

一方、12日の東京株式相場も続伸して始まったが、アジア株が全般 に安く、午後にはマイナスに転じた。

--取材協力:Kevin Buckland、Kristine Aquino. Editors: 青木 勝, 山中英典

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