ことしの国内IPO80社も、前年比7割増へ-日本VC協会長

2013年に国内で新規株式公開( IPO)する企業数は、前年比約7割増の80社程度になりそうだ。安倍 政権の脱デフレ政策への期待を背景にした株高が好影響を与えるほか、 公開企業の質が向上している点も市場全体の好循環を生み出す、と日本 ベンチャーキャピタル(VC)協会の安達俊久会長はみている。

安達氏はこのほどブルームバーグ・ニュースのインタビューに応 じ、ことしのIPO件数は「日本株市場全体で80社程度になる」と予 想。2-3年後には「100社前後まで回復するだろう」との見通しを示 した。同氏は、伊藤忠テクノロジーベンチャーズの社長でもある。

国内IPOは09年の19社を底に、10年に22社、11年に38社、12年に は48社と緩やかに回復傾向をたどっている。13年1-3月は、13社が IPOを予定。前年同期は7社だった。ことし予想される公開企業の業 態に関し、安達氏は「企業向けITサービス、ライフサイエンス・バイ オ関連が多くなりそう。SNS(ソーシャル・ネットワークキング・サ ービス)やゲーム関連も昨年に続き複数銘柄出てくる」と述べた。

企業向けITサービス関連では、法人顧客を対象に情報通信システ ムなどを手掛ける協立情報通信が2月20日に上場。3月12日の医療情報 システム提供のソフトマックスのほか、22日には業種特化型アプリケー ションを開発のブロードリーフも控える。ライフサイエンス・バイオ関 連では、メドレックスがことしの第1号案件として2月13日に上場。 SNS・ゲームでは、オルトプラスが3月14日に上場予定だ。

また、IPO市場の活性化にはディー・エヌ・エーやグリーのよう に、上場後の株価上昇で時価総額が1000億円を超す銘柄がもっと多く出 てくる必要がある」と安達氏。この規模に達すれば、機関投資家の投資 対象になってくるためで、ただそれには具体的、現実性ある成長戦略を 伝えるIR(投資家向け広報)活動が重要と言う。

マザーズから1部への市場変更、最多に

東京証券取引所マザーズから東証1部への市場変更が昨年はスター トトゥデイやKLab、リブセンスなど11社と過去最多を記録した。こ の点について安達氏は、1部指定の基準緩和や審査簡略化の影響もある が、「事業計画を着実に達成し、きちんと成長戦略をIRしている会社 が評価されたのだろう。将来に向け期待が持てる動き」と指摘した。マ ザーズから1部への変更は11年が7社、10年4社、09年2社だった。

さらに安達氏は、ITバブル時と比べ「この2、3年は明らかに 質・レベルが高く、ポテンシャルの高いベンチャー企業経営者が増えて いる。最初から海外に目を向けている企業が多いのも特徴」と分析。 VC業界がこうした企業群を責任を持って支援すれば、ベンチャーキャ ピタルの収益も上がりやすくなり、成功企業が情報発信することで「次 の世代の起業家も出てくる好循環になる」との見解を示した。

抑制の反動

この3、4年、厳しい市場環境の中で「実力があっても市場の評価 が非常に低い会社が多かった」と同氏。上場承認が取れたものの、「機 関投資家を回るブックビルディングで需要動向が低調だったために、上 場を断念した企業も沢山あった」と振り返る。11年には日興アセットマ ネジメント、12年はツバキ・ナカシマなどが上場を延期した。

安達氏によれば、コストと調達予想額の兼ね合いから、上場予備軍 の間で09年ごろから「上場条件を満たしているにもかかわらず、上場申 請すらしない企業が増えた」そうだ。ただ、日経平均株価がリーマン・ ショック直前の水準を約4年半ぶりに回復するなど、足元で日本株市場 に投資家が回帰。「今まで抑えられていた上場案件が出やすい。過去に 上場承認を受けた後、IPOを延期した企業が再登場する動きもことし 以降増える」と、同氏は話している。

日本版JOBS法、1カ月ぶりIPO

安達氏は、ベンチャー企業の活性化には「新規上場のハードルを下 げることも必要」と指摘。日本VC協会は、内部統制監査報告書(監査 人)の提出を免除する米国のJOBS法にならい、「日本版JOBS 法」の導入を国に要望している。米国では12年春に新興成長企業の育成 に向け、SOX法の規制緩和を目的とするJOBS法を制定。JOBS 法は、未公開企業による公開資本市場への参入障壁を低くし、新興成長 企業の成長を支援、雇用創出や経済成長を促進させようというものだ。

きょうは、約1カ月ぶりのIPO案件となったソフトマックスが東 証マザーズに上場し、取引開始から買い気配値を切り上げ、午前終了時 点の気配値は公開価格(1300円)を70%上回る2210円となった。今週 は、13日にインターネットを通じた食品販売のオイシックス、14日にオ ルトプラス、15日には宅配水製造・販売のウォーターダイレクト、総合 物流会社の鴻池運輸の上場も予定されている。

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