石田日銀委員:政府の取り組みを条件としない-物価目標への緩和

日本銀行の石田浩二審議委員は11日 午後、宇都宮市内で記者会見し、2%の物価目標達成に向けた日銀の金 融緩和は政府による成長力強化などの取り組みを条件とするものではな いとの見解を示した。

石田委員は、1月の金融政策決定会合で政府・日銀が公表した共同 声明は「それぞれが自らの役割を明確に認識して取り組むことを明らか にしたものだ」と指摘。「双方の取り組みが相まって、デフレからの早 期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長をもたらす」と続けた。

金融緩和の主力手段となっている資産買い入れ等基金における国債 購入の年限を「3年以下」から伸ばすべきだとの議論については、現在 の対象年限にも「それなりの理由がある」と指摘。

企業の借り入れに対応した年限のプレミアム(上乗せ金利)やリス クプレミアムの低下を促す上、「イールドカーブ(利回り曲線)はつな がっているので、より長めの金利も下がる」と説明した。その上で「長 期化するなら、プラス・マイナス両面を評価して決めるべきだ」と語っ た。

先週の決定会合では、白井さゆり審議委員が、①14年からの無期限 資産買い入れの前倒し②経済成長に見合った長期的な資金供給を実施す るための長期国債買い入れ(輪番)と基金の統合-を提案。石田委員を 含む8人が反対し、否決された。

石田委員は会見で、無期限資産買い入れについて、すでに「実態的 には同じではないかと、以前から思っている」と話した。基金は「一般 論として、現在の金融緩和の基本構造を作っている」ため、手を加える と「金融政策の枠組み自体の大きな変更につながる」可能性があると指 摘。「目的や手段、効果、伝達経路、リスク、コストなどを総合的に検 討していく必要がある」と強調した。

日銀券ルール「非常に微妙なもの」

安倍晋三首相は2月末、今月19日に退任する白川方明日銀総裁の後 任に黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁、副総裁の1人に岩田規久 男学習院大学教授を起用する人事案を国会に提示。黒田氏は、日銀が基 金以外で保有する長期国債の残高を銀行券の発行残高以下に抑える「日 銀券ルール」の見直しに言及している。

石田委員は、日銀券ルールは「非常に微妙なものだ」と指摘。「日 銀券見合いの国債保有」に過ぎない面がある一方、財政ファイナンス (赤字の穴埋め)懸念を防ぐ意義もあると述べた。見直しは「やはり枠 組み変更に当たるので、所定の検討をすべきだ」との見解を示した。

付利引き下げ

巨額の国債購入を主力とする非伝統的な金融緩和と財政規律の関係 について、石田委員は「金融緩和を強力に推進するには財政規律がしっ かりしていることが望ましい」と発言。「しっかりしていればしている ほど、金融緩和を進めやすい」と続けた。

石田委員は昨年12月の決定会合で、日銀当座預金の超過準備分に供 給する利息(付利)をゼロ%に引き下げるべきだと提案。反対多数で否 決された。黒田氏は11日午前の参院所信聴取で、付利についてはプラス 面とマイナス面を検討する考えを示した。

日銀の議事要旨によると、12月の会合では1人の委員が、①付利 は、資産買い入れ等基金の購入対象である3年以下のターム物の国債利 回りを現行の付利水準である0.1%以下に低下させない働きをしてお り、緩和効果を減殺している②付利撤廃は退避通貨としての円の魅力を 減じておくうえでも望ましい-と述べた。同委員は付利を撤廃しても市 場機能は維持されるとの見方も示した。

石田委員は会見で、付利撤廃については「否決でいったん結論が出 た」ため、1月以降は提案していないと説明。当時は金融緩和を強化し ようとしても基金の購入年限に見合った市場金利が0.1%より下がらな かったのと、欧州でマイナス金利が発生する中で0.1%という不自然に 高い金利が過度の円高を招く懸念があったためだと語った。為替相場を 円安方向に「誘導する意図は全くなかった」と強調した。

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