FRB議長発言で混迷する出口戦略-資産保有に懐疑的見方も

バーナンキ米連邦準備制度理事会 (FRB)議長がFRB保有資産の売却に動く必要がないと先月主張し た際、一つの問題が提起された。連邦公開市場委員会(FOMC)がイ ンフレ加速を避けつつどのようにして記録的な規模の刺激策を解除する ことができるかということだ。

同議長は2月27日の議会証言で、2011年6月に概要を示した出口戦 略を「近いうちに」再検討するつもりだが、その一環として、FRBが バランスシート上に抱える市場から買い入れた証券を償還まで保有する ことを決める可能性があると述べた。この措置は購入資産の売却が借り 入れコスト急上昇につながるとの懸念解消に役立つものだ。同時に金利 上昇に伴うFRB保有資産の価値低下の回避を可能とする。

バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、ディーン・マキ氏 (ニューヨーク在勤)は、連邦準備制度が抱える総資産が3兆ドル (約288兆円)超と前例のない高水準に達したことを踏まえ、景気が回 復した際に放置すればインフレが加速する恐れがあると指摘する。

マキ氏はFOMCが「十分な速いペースで資産を引き揚げなけれ ば、オーバーシュートするリスクがある。金利を一般的な水準に戻し、 景気が正常と見なされる状態に戻れば、膨らんだバランスシートを維持 することで経済や資産市場に目立つ効果が及ぶだろうか。これまでの米 経済ではそうしたことはなかった」と述べた。

バーナンキ議長は下院金融委員会で議員らの質問に答え、米国と比 較し得る規模で中央銀行のポートフォリオを拡大・縮小した国はないと 説明。米国以前に量的緩和策に踏み切った国は日本だけだが、日本はま だ「そうした状況」にあると語った。

「答え出ていない」

フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は3月6日、ペンシルベニ ア州ランカスターでの講演後、購入資産をバランスシートに保持したま まにすることが実行可能な戦略であると当局者全員が認識しているわけ ではないと記者団に言明。「決して資産を売却しないと言い切れるの か、私には分からない」と述べ、「答えは出ていない。インフレが上昇 していても資産は売却しないと事前に確約することは難しい」と指摘し た。

カンバーランド・アドバイザーズの金融担当チーフエコノミスト、 ロバート・アイゼンバイス氏は、資産保有を継続するだけでインフレを コントロールすることはできないとし、「その意味でFOMCは世間知 らずだ。FOMCのモデルと現実の世界は別物だ」と話した。同氏はア トランタ連銀で調査ディレクターを務めた経歴を持つ。

マクロエコノミック・アドバイザーズの上級マネジングディレクタ ーで連邦準備制度でエコノミストをしていたアンツリオ・ボムフィム氏 は、バランスシートを正常化することのほうが「フェデラルファンド (FF)金利を操作する取り組み全体をずっとはっきりさせるだろう」 と述べた。

--取材協力:Jeff Kearns.

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