円が対ドルで3年7カ月ぶり安値圏、96円前半-米景気を楽観

東京外国為替市場では、円が対ドル で前週末の海外市場に続いて約3年7カ月ぶりの安値圏で推移した。米 雇用統計が市場予想を上回り、米景気への楽観から円安・ドル高が進ん だ流れが継続した。

ドル・円相場は午後3時20分現在、1ドル=96円10銭前後。朝方に 一時96円26銭まで円安が進行した後、95円台まで円が買い戻される場面 もあったが、円の上値は限定的だった。前週末の海外市場では2009年8 月12日以来の円安値となる96円55銭を付けていた。

通貨・金利リスク管理を手掛けるロックフォード・キャピタルのマ ネジングディレクター、トーマス・アバリル氏(シドニー在勤)は、 「恐らく今後数週間に、ドル・円相場は100円を目指すことになろう」 と指摘。その理由として、黒田東彦氏の日本銀行総裁就任で動き出す新 たな金融緩和政策の連想もあり、円からの資金流出が起きるとの見通し を示した。

ユーロ・円相場は同時刻現在、1ユーロ=125円ちょうど前後で推 移している。前週末に一時、125円92銭と約3週間ぶりの水準まで円安 が進行。その後、イタリアの格下げのニュースもあり、124円台を割り 込む場面も見られたが、引けにかけては値を戻し、この日の東京市場で は一時125円18銭まで買われた。

日銀総裁候補の黒田氏は11日午前の参院での所信聴取で、日銀が掲 げる物価上昇率2%の目標を「1日も早く実現することが何よりも重要 な使命」とあらためて述べた上で、具体的施策としてスワップ取引など のデリバティブ(金融派生商品)の活用も検討する姿勢を示した。

内閣府が11日発表した1月の機械受注統計(季節調整値)による と、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」は前月 比13・1%減の6544億円と4カ月ぶりに減少した。減少率はブルームバ ーグ・ニュースの事前調査による予測中央値(1.7%減)を上回った。

米雇用を好感

米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO) で世界最大の債券ファンドを運用するビル・グロース氏はブルームバー グのインタビュ-で、米国の国内総生産(GDP)が今年は3%拡大す る可能性があると述べた。PIMCOの従来予想は2%未満の増加だっ た。

米労働省が8日に発表した2月の雇用統計では、非農業部門雇用者 数(事業所調査、季節調整済み)が前月比23万6000人増加し、ブルーム バーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値16万5000人増を 上回った。家計調査に基づく失業率は7.7%と、前月の7.9%から低下 し、2008年12月以来で最低となった。

雇用の伸びを好感し、前週末の米株式相場は6営業日続伸。米国債 相場は5日続落し、10年債利回りは一時、11カ月ぶり高水準に上昇し た。米景気への楽観が広がる中、外国為替市場では円が主要通貨全てに 対して下落した。11日の東京株式市場では日経平均株価が8日続伸し、 前週末比65円43銭(0.5%)高の1万2349円05銭で引けた。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、黒田次期日銀総裁候 補らの姿勢を受けて日本サイドでは金融緩和期待がある一方、米国では 緩やかな景気回復が続いており、「こうなってくると金融緩和の出口の 方に目が行き始める」と指摘。「欧州に少し不安はあるものの、株式相 場もかなり堅調で、雰囲気としてはリスクオンや円安だ」とし、今週も 強めの米指標が続けば、ドル・円は「節目である100円を意識した動き になる」とみている。

ユーロ・ドルは前週末に1ユーロ=1.31ドル前半から一時1.2955ド ルまでユーロ安・ドル高が進み、昨年12月11日以来のドル高値を更新。 この日の東京市場では.29ドル後半から1.3000ドルちょうど近辺での小 幅な値動きとなった。

フィッチ・レーティングスは8日、イタリアの国債格付けを 「BBB+」とし、従来の「A-」から一段階引き下げた。2月の総選 挙後の政局混迷で、同国がリセッション(景気後退)と欧州債務危機に 対応する能力が脅かされていると指摘した。見通しは「ネガティブ」と いう。

--取材協力:Masaki Kondo、持田譲二. Editors: 青木 勝, 山中英典

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