【今週の債券】長期金利0.6%割れ試す展開、緩和観測で-米金利高警戒

今週の債券市場で長期金利は0.6% 割れを試す展開が予想されている。週初は米国長期金利上昇の影響を受 けるとみられるが、日本銀行が新体制下で金融緩和を拡大するとの観測 を背景に金利低下圧力が徐々に強まる見込み。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.58%-0.72%となった。0.6%割れとなれば、10年ぶり低 水準0.585%を記録した5日以来となる。前週末終値は0.65%。

前週の債券市場では、次期日銀総裁候補の黒田東彦氏、副総裁候補 の岩田規久男氏と中曽宏氏の衆院での所信聴取をきっかけに、国債買い 入れの年限長期化の可能性が一段と高まり、全ての年限で金利低下が進 んだ。一方、前週末の米国債市場では、2月の米雇用統計で雇用が大幅 に増加し、失業率は低下したことから米10年債利回りは一時、11カ月ぶ り高水準に上昇した。

今週は参院で日銀の正副総裁候補3氏の所信聴取が行われる。ドイ ツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、「新日銀執行部案がこの まま国会で承認されれば、4月3、4日の日銀金融政策決定会合から追 加緩和が実施される可能性が高い」と言う。安倍晋三首相は9日のテレ ビ番組で、日本経済が円高でデフレに陥っている今しか大胆な金融緩和 はできないと強調した。

需給面では、12日に5年債入札が実施される。表面利率(クーポ ン)は前回債と同水準の0.1%となる見込み。発行額は2兆7000億円程 度。新発5年債利回りは前週、一時0.095%と付利(超過準備分に付く 利息)の0.1%を割り込んで過去最低を更新した。

SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは付利に近 い金利水準で応札倍率は高くならないとしながらも、「強力な金融緩和 期待があり、入札が不調となる可能性は低い」とみる。

20年債入札、無難との声

14日には20年債の入札が実施される。クーポンは前回債より0.2ポ イント低い1.6%か、0.1ポイント低い1.7%が見込まれている。発行額 は1兆2000億円程度。DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼ クティブファンドマネジャーは、20年債入札について、先週実施の30年 債入札が好調だったことから超長期ゾーンの金利上昇懸念は後退。20年 債入札はやや不安残すも、おそらく無難にこなすだろう」と予想する。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は6月物、10年国債利回りは328回債。

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物6月物144円80銭-145円70銭

10年国債利回り=0.58%-0.67%

「日銀の国債買い入れ拡大の期待があり、米景気回復や金利上昇へ の反応は小さくなっている。来年度に向けて債券投資を積み上げ切れて いない投資家が多く、4月からゆっくり買える状況でもないので益出し 売りも出しづらい。4月初回の日銀会合で驚くような緩和策が出なくて も、買い入れ拡大への期待は残り続けるだろう」

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人氏

先物6月物144円80銭-145円50銭

10年国債利回り=0.60%-0.67%

「長期金利は0.6%台前半から半ばが取引の中心か。債券残高の積 み増しが十分でない投資家の押し目買い意欲は強く、多少の売り材料が 出ても0.7%までは上昇しないとみている。日銀が4月以降、5-10年 債の購入を増やす可能性が高いとみられ、5年以下の金利の低位安定が 続いており、10年ゾーンまでの金利も上がりづらい環境にある」

◎パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長

先物6月物144円50銭-145円80銭

10年国債利回り=0.59%-0.70%

「日銀の新体制での追加緩和を織り込む展開が続いており、10年以 下の年限は強い地合いが続きそう。国債買い入れの対象年限を3年から いずれは5-10年へと伸ばしてくるとの見方が出ている。今月に国債大 量償還を控えており、前倒しして資金が流入してくるのではないか。来 年度の収益を稼ぐために債券を積み増す動きも出てくると思う」

◎損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの平松伸仁シニアインベ ストメントマネジャー

先物6月物144円70銭-145円60銭

10年国債利回り=0.58%-0.72%

「日銀の金融緩和への思惑が強いため、4月の1回目の金融政策決 定会合で政策が判明するまで買いが続きそう。5年債入札は無風だろ う。20年債入札は、利回りが1.5%であれば需要が減退するだろう が、1.6%であれば良い結果となりそうだ。生保は1.5%を目安にしてお り、それを下回って買う向きはいないのではないか」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors: 山中英典, 青木 勝

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