【日本株週間展望】上昇基調続く、円安再加速や米景気に期待

3月第2週(11-15日)の日本株相 場は、上昇基調が続く見通し。為替市場で円安の動きが再び強まってお り、企業収益の上振れ期待につながる。海外株高や日本銀行による大胆 な金融緩和期待も投資家心理を後押しし、幅広い業種が買われそうだ。

パインブリッジ・インベストメンツの前野達志執行役員は、足元の 日本株は円安に伴う企業収益の改善を織り込む過程にあり、「穏やかな 上昇基調は続くだろう」と予想。また、流動性供給の下支えによる世界 的な株高を受け、「投資家に楽観ムードが広がっている」と言う。

第1週のTOPIXは、前週末に比べ3.7%高の1020.50と3週連続 で上昇し、2008年10月以来、約4年5カ月ぶりに終値で節目の1000ポイ ントを回復した。日経平均株価も1万2283円となり、リーマン・ショッ ク直前の同年9月12日の終値1万2214円を上回った。

日本銀行の次期執行部による金融緩和策推進への期待に加え、欧米 株高の動きを好感。為替の円安基調が一服していた週半ばまでは倉庫・ 運輸や陸運など含み資産関連、小売、サービスといった内需株の上げが 目立ち、円安の再加速を受けた後半はゴム製品、輸送用機器など輸出関 連株が上昇ピッチを速めた。

昨年11月中旬以降の円安基調は、ここ1カ月余り勢いを弱めていた ものの、7日のニューヨーク市場でおよそ3年半ぶりに1ドル=95円台 に突入。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が同日、ユーロ経済圏が 緩やかに回復するとの見通しを示すなど、欧米景気の回復期待が逃避通 貨とされる円売りの動きにつながった。

業績に上振れ余地

内閣府の経済社会総合研究所が1日に発表した企業行動に関するア ンケート調査によると、輸出を行っている企業(全産業)の1月時点の 為替採算レートは1ドル=83円90銭で、1年後の予想レートは88円40銭 となっている。みずほ証券投資情報部の倉持靖彦ストラテジストは、直 近の為替の動きを見る限りは「業績はさらに上方修正される可能性が高 い」と話している。

野村証券のまとめによると、2月24日時点での国内主要企業(ラッ セル野村ラージ指数332社ベース)の経常増益率は、12年度推定で前年 度比5.1%増。来期13年度は27%増が見込まれている。

一方、連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和政策の継続観 測、景気回復期待を背景に米国株市場ではダウ工業株30種平均が07年10 月に付けていた過去最高値を連日で更新。米国株オプション取引の指標 で、投資家の不安心理を示すシカゴ・ボラティリティ・インデックス( VIX)の過去1カ月の平均値は14.14と、過去3年の平均値20.91を下 回る。

第2週は、米国で13日に小売売上高、14日に新規失業保険申請件 数、15日に鉱工業生産などが発表予定。特に小売売上高は、市場関係者 の注目度が高く、ブルームバーグ・データが集計したエコノミストの予 想中央値は前月比0.4%増と前月の0.1%を上回り、4カ月連続で増加す る見通しだ。

春闘集中回答日、給与の行方

国内では、13日が労使間が労働条件交渉を行う春闘の集中回答日に 当たる。これまで、セブン&アイ・ホールディングスなど小売大手の一 部がベースアップや賞与の増額を発表したほか、7日付の日本経済新聞 朝刊は、日産自動車が労働組合の一時金要求に対して満額回答する方針 を固めたと報じた。

東洋証券投資情報部の檜和田浩昭シニアストラテジストは、「製造 業の一部はまだ保守的な見方が強いが、内需系は前倒しで賃金引き上げ を判断している会社も多い。徐々に企業の賃上げへの期待は高まってい る」と指摘する。結果次第では個人消費の改善期待につながり、日本株 の支援材料になる可能性がある。

一方、東京証券取引所が公表する投資部門別売買動向によると、海 外投資家は昨年11月第2週から2月第4週まで16週連続で日本株を買い 越している。10年11月から11年5月まで続いた29週連続に続く長さ で、16週間の累計買越額は東京、大阪、名古屋3市場の合計で約4 兆2000億円に達した。

三菱UFJ投信株式運用部の内田浩二チーフファンドマネジャー は、「下がれば買いたいという投資家がまだ多い」と見ている。また、 これまでの海外勢の買いの主体はヘッジファンドなど短期投資家で、 「ロングオンリーの機関投資家は成長戦略などを慎重に見極めている。 そうした資金が流入すれば、日本株の上昇余地は大きい」と読む。

このほか、11日には政府が日本銀行の次期総裁に指名した黒田東彦 アジア開発銀行総裁への参院での所信聴取がある。4日の衆院聴取で は、「デフレ脱却に向けてやれることは何でもやる」との決意を表明 し、2年以内の物価目標達成を目指すと述べた。経済指標では、11日に 1月の機械受注、12日に法人企業景気予測が発表される予定だ。

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