日銀は政策維持、白井氏が無期限購入の前倒しと輪番オペ統合提案

日本銀行は7日開いた金融政策決定 会合で、政策の現状維持を決定した。白井さゆり審議委員が資産買い入 れ等基金の長期国債の購入について「期限を定めない買い入れ方式」を 速やかに導入し、「金融調節上の必要から行う国債買い入れ(輪番オ ペ)」と統合する議案を提出したが、1対8の反対多数で否決された。

日銀は足元の景気について「下げ止まっている」として、前月の 「下げ止まりつつある」から上方修正した。総裁と山口広秀、西村清彦 両副総裁にとって最後の会合で、4月の次回会合からは、新体制の下で 金融政策のレジームチェンジ(体制転換)を目指す。

日銀は全員一致で政策金利「0-0.1%」の維持を決定した。年内 の資産買い入れ等基金の残高は、金融資産購入が76兆円、固定金利方式 の共通担保オペが25兆円の計101兆円に据え置いた。2014年初から開始 する期限を定めない毎月一定額の金融資産買い入れについても、長期国 債2兆円程度を含む13兆円に据え置いた。日銀ウオッチャー13人を対象 に行った事前調査でも全員が現状維持を予想した。

実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れなどの措置を、「それ ぞれ必要と判断される時点まで継続する」としているコミットメント (約束)について、宮尾龍蔵審議委員が前回会合に引き続き、実質ゼロ 金利を、2%の「物価安定目標の実現が見通せるようになるまで継続す る」との議案を提案したが、1対8の反対多数で否決された。

一挙にレジームチェンジか

次期総裁候補の黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁は4日、衆 院の所信聴取で「デフレ脱却に向けてやれることは何でもやる」と表 明。「既に決めた金融緩和では明らかに不十分」であり、「対象も国債 であればより長期のもの、既に社債や指数連動型上場投資信託 (ETF)を買っているが、そうしたものを幅広く検討していく必要が ある。量的にも質的にもさらなる緩和が必要だ」と語った。

副総裁候補の岩田規久男学習院大学教授は5日、衆院の所信聴取で 「日銀は2%を必ず達成する、この達成責任を全面的に負う必要があ る」と指摘。「日銀は金融政策のレジーム(体制)転換をすることが求 められている」と述べた。達成期間については「遅くとも2年では達成 できるのではないか、またしなければならない」と言明。達成できなけ れば辞職する意向を示した。

ドイツ証券の松岡幹裕チーフエコノミストは1日のリポートで、新 体制で予想される具体策として、①日銀券と日銀当座預金などの合計で ある「マネタリーベース目標」の導入②資産買い入れ等基金を廃止して 長期国債購入を輪番オペと統合し、買い入れ対象の「残存期間3年」を 撤廃③日銀の保有国債残高を日銀券残高以下に抑制する「日銀券ルー ル」の撤廃④ゼロ金利と資産買い入れを「必要と判断される時点まで継 続する」としているコミットメントの強化-などを指摘。

その上で「4月3、4日の金融政策決定会合で基本方針や具体策が すべて決まるとも限らない」としながらも、半年に1度の経済・物価情 勢の展望(展望リポート)を公表する同月26 日には「基本方針や具体 策の大部分は決定されるだろう」と予想。従来の金融政策の延長線上の 「小出しな変化」という印象を避けるためにも、これらの多くが「ほぼ 同時期に一挙に公表される可能性が高い」とみる。

財政ファイナンスが常態化へ

2%の物価目標の達成時期について、黒田氏は所信聴取で「いつ達 成できるか分からないということでは物価目標にならない」として、 「2年というのがグローバルスタンダードなので、当然それを目指すと いうことになる」と述べた。岩田氏は2年以内に達成できなければ、 「責任は自分たちにある」とした上で、「最高の責任の取り方は辞職す るということだと認識している」と言明した。

政策リスクは出口政策

JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「2%の安定し たインフレが実現する可能性は低いので、金融政策は今後かなり長期 間、超緩和政策を続け、国債買い入れを続けることになろうが、この 間、政府が財政赤字削減に本格的に臨まないと、国債発行残高は急激に 増加し、『日銀による財政赤字ファイナンス』が常態化する可能性が高 い」と指摘。

その上で「日銀が国債を購入し続ける限り長期金利は低位安定する だろうが、インフレ率が2%を上回る状況になると、日銀は引き締めを 始め、国債の購入を中断、あるいは国債売却を開始することになる。こ の時点で、長期金利は急騰するリスクが高まる」と懸念。「現時点で、 出口政策を議論することは時期尚早との批判はあろうが、今後予想され る政策のリスクは出口政策だ」としている。

白川方明総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は4月 9日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブ サイトで公表している。

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