S&P神話の崩壊、本社41階で発せられた指令「顧客に協力を

米格付け会社スタンダード・アン ド・プアーズ(S&P)のマネジングディレクター、デービッド・テシ ャー氏がニューヨークのウォーターストリートの本社ビルで会議を招集 したのは、2007年3月のことだ。「狂ったこま」と同氏が表現したモー ゲージ債市場は、この時点でまさに崩壊しようとしていた。

テシャー氏は本社ビル41階の窓のない会議室に集まった格付けアナ リストらに対し、ウォール街(米金融街)の顧客は、市場が崩壊しない うちに質の悪化が始まっているモーゲージを債務担保証券(CDO)と 呼ばれる新たな証券に組み込む必要に迫られていると説明。このような リパッケージ債を年金基金や銀行、他の投資家に売りさばくために発行 体は最高格付けを必要としていると述べた。

米当局の訴えによれば、テシャー氏が送ったのは「協力的であれ」 というメッセージだった。

会議が開かれたのと同じ週、イースタン航空の従業員のために1937 年に設立されたイースタン・ファイナンシャル・フロリダ信用組合(フ ロリダ州ミラマー)が一部のCDOを購入することを決めた。この決定 が致命傷になることは後になって分かる。1億4920万ドル(約140億 円)相当のCDO投資は1年以内に価値を失い、信用組合自体も09年6 月までに消え去った。

米当局は、基準を緩めて銀行が望む格付けを与えたS&Pの行為が 詐欺に相当すると主張。テシャー氏が07年3月に招集した会議こそ、 S&Pが「客観的で独立し、他の影響を受けない」格付けを提供すると いう信用が失われた瞬間だったと訴状で指摘している。

原題:S&P Credibility Seen Eroded by Complicity in Bad Mortgage Deals(抜粋)

--取材協力:Matt Robinson、Zeke Faux、Edvard Pettersson、Anita Kumar、Michael Novatkoski、Michael Weiss、Nick Tamasi.

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