中国:13年の成長率目標7.5%-温首相が残した課題、次の世代へ

中国の温家宝首相は5日、この日開 幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で政府活動報告を行 い、中国は持続可能な成長モデルを欠いており、増大する「社会問題」 に直面していると述べた。温首相の在任中の10年で中国の経済規模は4 倍に拡大し、世界2位となった。

温首相は約3000人の代表らを前にした最後の演説で「中国がいまだ 多くの困難と問題に直面していることを、われわれは強く認識してい る」と語った。今年の成長率目標は昨年と同じ7.5%に、インフレ率目 標は3.5%に設定した。

温首相は17日に終了する今回の全人代で首相の座を降りる。任期 中、中国経済は8兆ドル(約740兆円)規模となり、日本とドイツを上 回った。世界的な金融危機の中でもその拡大は続いた。しかし、その裏 では格差の広がりや環境悪化が進行し、金融リスクが高まった。次期首 相就任が確実視されている李克強副首相に課題が引き継がれた形だ。

野村ホールディングスの中国担当チーフエコノミスト、張智威氏 (香港在勤)は「温首相が残し、新指導部が取り組むことになる問題は 多い」とし、「不動産バブルのリスクや大幅に増えた地方政府債務、所 得格差、環境汚染の深刻化」などを挙げた。同氏は国際通貨基金 (IMF)での勤務経験がある。

中国は05年から11年まで成長率目標を8%としていた。昨年のイン フレ目標は4%だった。温首相は報告の中で、金利と人民元レートはよ り市場本位になるとあらためて述べた。

社会問題の増加

温首相は「不透明感に覆われた」世界経済の回復を中国が導く必要 があるとも発言。中国経済については「不均衡で不協調、持続不可能な 発展が重大な問題として残っている」とし、「社会問題が著しく増加し ている」との認識を示した。

政府が不動産市場の沈静化策を打ち出したことを受け、上海総合指 数は4日に前週末比3.6%安と、11年8月以来の大幅下落で終了。経済 成長と物価への懸念の均衡を図るという中国共産党の新指導部が直面す る困難さが浮き彫りとなった。

ソシエテ・ジェネラルの中国担当エコノミスト、姚偉氏(香港在 勤)は「李次期首相は、中国経済のハードランディングを防ぐために改 革ペースを十分に速く維持する方法を検討することになるだろう」と予 想。「賃金の伸び率が高い上、企業のレバレッジも大きく生産能力も過 剰だ。中国経済は競争力を失いつつある」と課題を指摘した。

温首相は一人っ子政策について「家族計画に関する基本的な国家政 策を固持すべきだ」として、変更する考えは示さなかった。また「大気 と水、土壌の深刻な汚染という問題の解決に向け、決意を固めるべき だ」と訴えた。

マネーサプライM2の今年の伸びについては、13%前後との目標を 示した。昨年は13.8%だった。

貿易の伸び

国家発展改革委員会(発改委)はこれとは別に同日、13年の貿易の 伸び目標を8%にする方針を発表。昨年の10%から引き下げた。昨年は 輸出が7.9%増、輸入が4.3%増にとどまった。

また中国財政省はこの日、今年の財政赤字を1兆2000億元(約18兆 円)とし、前年より50%増やす計画を示した。これは国内総生産 (GDP)の約2%に相当する。地方政府の財政赤字を埋めるため、同 省が債券を3500億元相当発行することも明らかにした。

温首相は「地方政府の債務管理を引き続き強化する」とし、「債務 を適切な水準に保つ」と言明した。

インフレ圧力

中国の12年の成長率は7.8%で、1999年以降で最も低い伸びにとど まった。ブルームバーグ・ニュースが2月にまとめた市場関係者43人の 予想中央値によると、今年の成長率は8.1%が見込まれている。昨年10 -12月(第4四半期)は7.9%成長と、2年ぶりに成長拡大ペースの持 ち直しを示した。

首相は土地代と人件費の上昇圧力と主要先進国の金融緩和を挙げ、 「中国は今年、引き続き大きなインフレ圧力にさらされている」と発言 した。

昨年の消費者物価指数(CPI)の伸びは2.6%で、11年の半分未 満だった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によると、今年 は3.1%となる見込み。温首相は、中国は「穏健な」金融政策と「積極 的な」財政政策を追求するとの方針をあらためて表明した。

原題:China Sets Growth Target of 7.5% as Wen Flags Hurdles: Economy(抜粋)

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