円上昇、欧州懸念-日銀副総裁候補の衆院聴取後から円買い

東京外国為替市場では、円がドルや ユーロに対して上昇。イタリアで再選挙の可能性が高まっていることへ の不安や、欧州経済に対する悲観的な見方が背景となった。

ブルームバーグ・データによると、午後4時24分時点の円は、主 要16通貨のうち韓国ウォンを除く全ての通貨に対して前日の終値を上回 っている。日本銀行の次期副総裁候補である岩田規久男学習院大学教授 と中曽宏日銀理事に対する衆院議院運営委員会での所信聴取が終了した 後、円買いが一段と優勢になった。

ドル・円相場は一時1ドル=92円92銭まで円が買われた。日本時間 朝に93円54銭を付けた相場は、93円33銭まで円がいったん強含んだ後、 岩田教授の発言を受けて93円52銭前後まで戻したが、円売りの動きは続 かなかった。

楽天証券の相馬勉債券事業部長は、日銀の正・副総裁候補の所信聴 取でいったん「ほぼ材料が出尽くした感がある」と指摘。今週の金融政 策決定会合では何もしないとみられる中、これまでの円安進行で、輸出 企業などの「実需筋はこのレベルならどこで円を買ってもよい状況だ」 と説明した。

ユーロ・円相場は朝方に付けた1ユーロ=121円87銭を円の安値に 円高基調へ転じ、午後の取引後半には121円14銭まで円買い・ユーロ売 りが進んだ。

FXプライムの上田眞理人専務取締役は、イタリア政局について 「まとまりようがないので、ユーロに対する不安は依然続く。今はまだ 序曲に過ぎないので、春先に本格的に再びユーロ不安が再燃するかとい うところを見極めなくてはいけない」と指摘した。

ユーロは対ドル3カ月ぶり安値圏

ユーロ・ドル相場は午後4時25分現在、1ユーロ=1.3031ドル前後 で推移。イタリアの政局不安や、6日発表される2012年第4四半期のユ ーロ圏域内総生産(GDP)がマイナス成長になるとの見通しがユーロ の重しとなり、前週末に付けた約3カ月ぶりの安値付近での推移が続い た。

欧州中央銀行(ECB)は7日に政策委員会を開く。上田氏は、同 会合について「利下げをもっと視野に入れると思う。ユーロ買いの材料 が出るとは思わない」との見方を示した。

また、三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループ のマネジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、イタ リアについて「昨年のギリシャのように差し迫ってデフォルトするよう な状況ではないので、確かに債務残高は欧州では一番大きいが、昨年の ギリシャのような危機感は今のところはない」と指摘。ユーロに関して は「利下げ観測の若干の高まりとイタリア政局の混迷というところを理 由に、もう少し下押す可能性もまだある」とみている。

サプライズなし

5日午前に開かれた衆院議院運営委員会での所信聴取で、岩田教授 は物価目標について「日銀は2%を必ず達成する、この達成責任を全面 的に負う必要がある」と指摘。「日銀は金融政策のレジーム(体制)転 換をすることが求められている」と述べた。達成期間については「遅く とも2年では達成できるのではないか、またしなければならない」と述 べた。また、中曽日銀理事は、日銀の組織を活かし総裁を支えると述べ た上で「前例にとらわれず、常に新しい発想で取り組む」との考えを示 した。

CMCマーケッツのシニア為替ディーラー、ティム・ウォータラー 氏は、「日銀の正副総裁候補らの発言からは、政策の成果を出すのにど のくらいかかるか不透明な部分がある。それがプロセスの長引き具合や 円高要因になるかなどといったことに対する疑問として少し出ている」 と述べた。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、岩田氏の 発言にはサプライズがなく、ドル・円は前日の黒田東彦日銀総裁候補へ の所信聴取の際とほぼ同様の動きだとし、「岩田氏ならもう少しおもし ろいことを言うかなという漠然とした期待はあったと思う」と説明。ま た、「日銀絡みの話はいったんこれで終わってしまったので、円の独自 材料でというのは難しい。あとはイタリア関係の話や米国の強制歳出削 減に関する交渉をみるしかない」と話した。

--取材協力:小宮弘子、Mariko Ishikawa. Editor: 崎浜秀磨

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