岩田・日銀副総裁候補:物価目標のマジック、予想インフレ上昇で円安

日本銀行の次期副総裁候補である学 習院大学の岩田規久男経済学部教授は4日午後に都内で講演し、長引く デフレを脱却するための鍵は、日銀が金融政策の枠組み(レジーム)を 変更・明確化し、予想インフレ率を引き上げることだと主張した。

岩田氏は「デフレは貨幣的な現象だ」とあらためて強調。2%の物 価目標達成に向けた日銀の取り組み姿勢が市場の信認を得れば、予想イ ンフレ率の上昇を通じて予想実質金利が下がり、実際の物価が上がり始 める前に円安・株高が進むと説明した。企業収益や設備投資、家計消費 といった実体経済にも一定の時間差を伴って波及すると語った。

デフレ予想をインフレ予想に転換できるのは金融政策だけだと主 張。各経済主体が物価目標の達成を前提に行動する同目標導入国の姿は 「外から見るとマジックのように見える」と述べた。市場が注視するの は日銀当座預金と現金の増減だとも説明し、円相場に対しては予想イン フレ率1ポイントの上昇で7.4円の円安・ドル高効果があるとの試算を 示した。

安倍晋三首相が求める大胆な金融緩和を背景に名目金利が下がって いる理由については、予想インフレ率の上昇で日銀による国債買い入れ 増の観測が勝っているためであり、デフレ予想ではないと指摘した。た だ、世界標準の物価目標の下では達成に向けた金融政策手段に関しては 独立性が保障されているため、政府に国債購入を強要される財政ファイ ナンスの懸念は起こりようがないと強調。こうした「プロパガンダ」を 悲しく思うと述べた。

機動的な財政出動に関しては、予想インフレ率の押し上げが実体経 済に波及するまでの「時間稼ぎ」という位置づけだと指摘。潜在成長率 の引き上げを含めた日本経済の本格的な再生には安倍晋三首相が説く3 本の矢が補完しあう必要があり「魔法の杖はない」と強調した。

岩田氏は東京大学経済学部を卒業後、73年に同大学院博士課程を修 了。上智大学教授を経て、98年から現職。76-78年に米カリフォルニア 大学バークレー校で客員教授を務めた。「昭和恐慌の研究」や「日本銀 行 デフレの番人」などの著作がある。

--取材協力:上野英治郎. Editors: 崎浜秀磨, 平野和

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