円上昇、伊不安や中国株安でリスク回避-黒田発言での売り限定

東京外国為替市場では円が主要通貨 に対して全面高。イタリア政局混迷への懸念が根強い中、中国株の急落 もリスク回避の動きを誘い、午後にかけて円買いが優勢となった。次期 日本銀行総裁候補の黒田東彦アジア開発銀行総裁の所信聴取が行われた が、追加緩和期待からの円売りは限定的だった。

ドル・円相場は日本時間早朝に1ドル=93円後半から93円半ばまで 円買いが先行。その後、黒田氏が衆院での所信聴取で、デフレ脱却に向 けて「やれることは何でもやる」と表明したことを受け、強力な金融緩 和策への期待から約2年10カ月ぶりの安値(94円77銭)を記録した2 月25日以来の水準となる93円73銭を付けた。しかし、円売りの流れは続 かず、午後の取引では93円前半から半ばでもみ合った。3時55分現在 は93円40銭前後。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 「ドル・円は前週末の安値から1円超上げているので、 利食いが出る のは仕方がない。黒田氏の発言に対して決して失望しているわけではな い」と説明。一方、中国株が大幅下落しているので、リスクオフ(回 避)に伴う円買いも出ていると指摘した。

ユーロ・円相場は一時、1ユーロ=121円99銭まで円売りが進んだ が、その後は121円前半まで円が値を戻した。同時刻現在は121円48銭近 辺で推移している。

衆院で所信聴取

黒田氏は4日午前、衆院議院運営委員会で所信聴取に臨み、これま での日銀政策は2%の物価目標の達成に不十分とした上で、デフレ脱却 へ向け「やれることは何でもやる姿勢を明確に打ち出したい」と述べ、 大胆な金融緩和を進める意向を示した。日銀が掲げる2%の物価目標の 達成期間については2年を目指すとした。

野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジスト は、「日銀がデフレ克服に対して責任を持っているということを強く打 ち出しているし、さすが国際派の黒田氏で、できることは何でもやると いうフレーズを織り交ぜてきた」と指摘。「黒田氏はもともとコミュニ ケーション戦略を重視されているので、新しい日銀の強いコミットメン トを前面に出した内容になったと思う」と話す。

イタリア民主党の経済政策の責任者であるステファノ・ファッシナ 氏は3日、ベルサニ党首を中心とする中道左派が政権発足に向けた多数 派工作に失敗した場合、数カ月以内に再選挙が行われる可能性があると 語った。スカイTG24の番組で発言した。

ベルサニ党首は、国営イタリア放送協会(RAI)とのインタビュ ーで、ベルルスコーニ前首相が率いる中道右派との連携に動かず、中道 左派による自力での政権発足を目指す考えを強調した。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.30ドル前半を中心とした小幅な値 動きに終始した。前週末には昨年12月11日以来の水準となる1.2967ドル までユーロ安・ドル高が進行。ユーロ圏の失業率が統計開始以来の最高 となり、製造業景気指数の悪化が示された一方、米供給管理協会 (ISM)が発表した2月の製造業景況指数が2011年6月以来の高水準 となり、欧米の景況格差が鮮明となったことが手掛かりとなった。

フランスのモントブール生産再建相は3日、ラジオ局ヨーロッパ1 とのインタビューで、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はユーロが 「過大評価」されていると発言し始めるべきだとし、欧州経済に「酸 素」を与えるためユーロが1.1-1.15ドルに下落することを望むと述べ た。

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