【今週の債券】長期金利0.6%台の下限探る、入札警戒も緩和強化の観測

今週の債券市場で長期金利は10年ぶ り低水準の0.6%台で下限を探る展開が予想されている。今週2回実施 の国債入札への警戒感が出ているものの、日本銀行が新体制下で金融緩 和を強化するとの観測を背景にした買いが見込まれている。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが1日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは全 体で0.62%-0.70%となった。前週末1日には一時0.64%と2003年6月 以来の水準まで低下し、0.645%で引けた。

政府は前週、日銀次期総裁に元財務官の黒田東彦アジア開発銀行 (ADB)総裁、副総裁に岩田規久男学習院大教授、中曽宏日銀理事を 起用する人事案を国会に提示した。黒田氏は4日、岩田氏と中曽氏は5 日に所信聴取をそれぞれ受ける予定。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、政府が提示した 黒田総裁、岩田副総裁という日銀人事案は非常にリフレ的な組み合わせ だと指摘。「この人事案が承認されれば、4月会合から超緩和的な金融 政策が実施される可能性が高そうだ」とみている。

日銀は6、7日の日程で金融政策決定会合を開催する。3月19日に は白川方明日銀総裁をはじめ正副総裁3人すべてが退任することから、 今回の会合では金融政策の据え置きが見込まれている。

5日に10年利付国債(3月発行)の入札が実施される。1日の入札 前市場では10年物が0.685%程度で推移しており、表面利率(クーポ ン)は前回債より0.1ポイント低い0.7%となる見込み。発行額は前回債 と同額の2兆4000億円程度。

8日には30年債入札

一方、8日には30年利付国債の入札が実施される。前回入札され た30年物の37回債利回りは前週末に1.765%で取引を終えた。クーポン は前回1月10日の入札に比べて0.1ポイント低下の1.8%となる見込み。 発行額は前回債と同額の7000億円程度。

SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは「日銀の 政策転換等などに期待した買いなどがどの程度入るか、2013年度の投資 家動向を占う上でも試金石となりそうだ」とみる。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は3月物、10年国債利回りは327回債。

◎トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー

先物3月物144円50銭-145円40銭

10年国債利回り=0.62%-0.70%

「短中期ゾーンは金融政策を見極める展開。日銀が新体制の下で国 債購入を増やすとの期待は根強いが、4月以降に追加緩和が行われるま では相当時間があり、付利引き下げまで織り込んでいる2年債などに調 整余地はある。10年債の入札実施もあり、いったん金利上昇を待っても 良い。超長期債に関しても、金利低下が速かったことから買い遅れた投 資家もいるが、利回り曲線ブル・フラット化は一段落しそう」

◎ソシエテ・ジェネラル証券の菅原琢磨シニア円債ストラテジスト

先物3月物144円80銭-145円30銭

10年国債利回り=0.62%-0.67%

「10年国債入札は無難に消化されるとみているが、30年入札は金利 低下が進んでおり、金利水準の高さを重視する投資家から見て、現行水 準では難しいのではないか。調整の動きで、利回り曲線が傾斜化する場 面があると思う。先物は145円を挟んだ推移か。期先の6月物への乗り 換えの動きでボラティリティーが上昇しそう。現体制で最後となる日銀 決定会合は、前回と同様に金融政策の現状維持が見込まれる」

◎みずほコーポレート銀行資金証券部の新井厚志次長

先物3月物144円60銭-145円40銭

10年国債利回り=0.63%-0.69%

「年金基金の買いが一服し、長期・超長期債の入札が実施されるこ とで相場は多少調整しよう。10年債入札は新発債が0.70%程度の利回り があれば買いが広がるだろう。生命保険からの超長期債の需要は3月も 続くとみられる。ただ、日銀正副総裁候補の所信聴取で長い債券の利回 りを押し下げるような政策が強く打ち出されれば、30年債入札まで買い が待てなくなる可能性がある」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

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