【日本株週間展望】上値試す、国内政策や業績期待の買い継続

3月第1週(4-8日)の日本株相 場は、上値を試す展開が予想される。日本銀行の追加金融緩和や日本の 成長戦略といった政策期待に加え、企業業績の回復を先取りする買いが 継続するとみられる。

みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員は、「流動性が供給されて 国内外の資金がマーケットに流入しており、金融相場的な色彩になって いる」と指摘。為替相場も現在の水準で落ち着けば、「日本にとって心 地良い」と話している。

2月第4週の日経平均株価は前の週に比べ1.9%(220円)高の1 万1606円で終え、3週続伸。米国景気の堅調や環太平洋経済連携協定 (TPP)への参加の可能性、日本銀行の追加緩和への期待が重なり、 不動産や倉庫・運輸、海運、証券など幅広い業種が高くなった。

衆院は、政府が日銀の次期総裁候補として提示した黒田東彦アジア 開発銀行(ADB)総裁に対する所信聴取と質疑を、4日午前9時半か ら議院運営委員会で実施する。副総裁候補の学習院大学の岩田規久男教 授と中曽宏日銀理事に対しては、5日午前10時半から行う予定だ。「新 正副総裁に対する期待は相当程度先行しており、特別なサプライズはな いだろう。ただ、相場に水を差すネガティブな発言もないと予想され、 穏やかな船出になろう」と、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメン トの角田成広シニアインベストメントマネジャーは言う。

長期金利低下、「3本の矢」

1日には、追加金融緩和期待から日本の長期金利が一時0.64% と、2003年6月26日以来の低水準を記録した。金融政策への期待感は、 引き続き日本株を支えそう。また、為替市場では一時の円安の勢いは一 服しているが、円高に振れる状況にもなっていない。損保J興亜の角田 氏は、「為替動向に遅行するアナリストの業績見通しは、週を追うごと に上がっており、来期業績への期待感は強い」と指摘する。

安倍晋三首相は2月28日に行った施政方針演説で、TPPへの交渉 参加は政府の責任で判断する方針を強調した。経済政策では、大胆な金 融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の 矢」を「力強く射込む」考えをあらためて示した。

3月1週からはアベノミクス相場の第2幕が始まる、と予想するの は岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストだ。これまでの 第1幕は政策変更への期待だったが、日銀の人事決定や施政方針演説後 の第2幕は「デフレ脱却へ向かう政策実行への期待に変わる」と指摘 し、日経平均は1万2000円を目指す動きになりそうと予想している。

米統計堅調も支えに

チャートも先高観の強さを裏付ける。2月4週は、イタリアの総選 挙後の政治空白を発端とするユーロ安に反応し、26、27日の2日間で日 経平均は3.5%(400円)下げた。ただ、週後半に持ち直し、結局は昨 年11月以降の上げ相場で25日移動平均線を一度も下回っていない。

国内の政策期待とともに、米景気の堅調も日本株を後押しする。2 月4週には、製造業耐久財受注が約1年ぶりの大幅な伸びとなり、新規 失業保険申請件数やシカゴ製造業景況指数なども改善を示した。野村証 券の若生寿一シニアストラテジストによると、「年初から緊縮財政とな ることへの懸念が市場にあったが、事前に身構えていたほど米景況感は 悪くなっていなかった可能性がある」という。

第1週は、米国で2月の指標が相次いで発表予定。5日に米供給管 理協会(ISM)の非製造業景況指数、6日にオートマティック・デー タ・プロセッシング(ADP)雇用統計、8日に雇用統計がある。ブル ームバーグがまとめたエコノミスト予想では、ISM非製造業景況指数 は前回の55.2から55.0への若干低下、雇用統計での非農業部門雇用者数 は1月の15.7万人増に対し、中央値で15.1万人増が見込まれている。

ただ、市場の事前の期待感が強くないだけに、指標停滞のマイナス 影響は限定的とみられる。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のバ ーナンキ議長は上院銀行委員会での議会証言で、当局による前例のない 資産購入は景気拡大を支援している一方で、インフレや資産価格バブル を引き起こすリスクはほとんどないと説明。時期尚早の利上げは台無し にすると述べており、金融政策の景気下支えに対し安心感も強い。

混迷するイタリア

もっとも、イタリアの政局不透明感は上値の抑制要因となりそう だ。総選挙では、緊縮路線を継承する中道左派陣営が政権発足に必要な 上院での過半数に届かない一方、五つ星運動は既存の政治勢力との協力 を否定する政策要綱を掲げ、今回最初となる国政選挙で全体の25%を上 回る票を獲得した。政党指導者らは連立政権を樹立し、再選挙を回避し ようと動き始めたが、新議会が招集される3月15日まで公式の進展はな く、政治空白は避けられない状況だ。

みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は、「政治空白が長引けばイタ リア国債が売られ、スペインなどにも波及する可能性がある」と警戒。 市場では、欧州中央銀行(ECB)の新たな国債購入プログラム (OMT)の存在から、イタリア問題は深刻化しないと見る向きが多い 半面、倉持氏は「OMT申請には厳しい条件が付く。選挙結果が僅差の 中で緊縮策を出せるのか」と、OMTが使えないリスクに言及した。

需給面では、8日に株価指数先物・オプション3月限の特別清算値 (SQ)算出を控える。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正 弘シニア投資ストラテジストは、「過去10年間で見て、海外投資家が唯 一売り越しになる傾向があるのは2月下旬から3月SQまでの間」とし た上で、1月からニューマネー流入が続いた後、その期間はいったんリ スク回避的な動きが出やすいアノマリーがある」と述べた。

このほか海外では、4日にユーロ圏財務相会合、5日に中国の全国 人民代表大会の開幕、6日に米ベージュブック(地区連銀報告)などが ある。国内では6、7両日に日銀金融政策決定会合、8日には2月の景 気ウオッチャー調査が公表予定だ。

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