ドル・円相場は92円半ば、米強制歳出削減の行方を見極め

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が1ドル=92円半ばを中心に推移した。イタリアの政局混迷を警戒し たリスク回避の動きが一服する一方、米国では強制歳出削減の発効予定 が迫っており、全般的に様子見姿勢の強い相場展開となった。

午後4時半現在のドル・円相場は92円52銭前後。株価の上昇につれ て、午後に入り一時92円73銭まで強含んだが、ドル買いは続かず、その 後92円44銭までじり安となった。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 「強制歳出削減に関しては補正予算とパックで、そこに間に合えばいい との楽観もあり、今のところ取引に影響はない」と説明。「月末の需給 相場が終了したことで、日本株の堅調さを見てクロス円(ドル以外の通 貨の対円相場)は小じっかりだが、週明けの黒田日銀総裁候補の所信聴 取も注目されており、小じっかりの中でも様子見ムードだ」と話した。

ユーロ・円相場も1ユーロ=121円ちょうど前後でもみ合った後、 午後にかけて一時121円27銭までじり高となったが、その後はユーロが 伸び悩み、同時刻現在は120円87銭前後となっている。

また、ユーロ・ドル相場は前日の海外時間に1ユーロ=1.31ドル台 を割り込み、一時1.3053ドルまでユーロ売りが進んだが、東京市場では やや値を戻し、午後には一時1.3084ドルを付ける場面も見られた。

米強制歳出削減

オバマ米大統領は1日午前、発動期日を迎えた850億ドル(約7 兆8700億円)規模の連邦歳出の強制削減回避を目指して議会指導者と交 渉する。上院は前日に強制歳出削減に代わる措置として民主、共和両党 がそれぞれ提出していた代替法案を採決に持ち込むための動議をいずれ も否決した。強制削減は大統領令に基づき正式に発効される。

バークレイズのFXストラテジスト、逆井雄紀氏(ニューヨーク在 勤)は、「短期的には強制歳出削減が発動する可能性が高いが、それで 急に850億ドルが消えるわけではなく、3月27日に暫定委予算措置が切 れるまでの間に何が出てくるかということもあるので、マーケットがど のような反応をするのかは見てみないと分からない」と指摘。「今後数 週間は間違いなく不透明感が残る」とし、ドル・円は「小康状態」とい う感じだと話していた。

また、三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサー チの内田稔チーフアナリストは、強制歳出削減は大きな話だが、最終的 な米国の財政がどうなるかという大枠でとらえた場合、暫定予算や5月 の法定上限引き上げの問題があり、「市場がこなすまでには時間がかか る」と指摘。その上で、最近の米経済指標はまだら模様で、「きょうの ISMや来週の雇用統計など米国のファンダメンタルズを確認していく 作業が必要になる」と語った。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、米供給管理 協会(ISM)が1日発表する2月の製造業景況指数は52.5(中央値) と、9カ月ぶり高水準となった1月の53.1から低下するとみられてい る。

黒田総裁候補、4日に所信聴取

衆院は政府が先月28日に日銀総裁候補として提示した黒田東彦アジ ア開発銀行(ADB)総裁に対する所信聴取と質疑を4日午前9時半か ら議院運営委員会で実施する。自民党の佐藤勉国会対策委員長代理が記 者会見で見通しを明らかにした。副総裁候補の岩田規久男学習院大学教 授と中曽宏日銀理事に対する所信聴取と質疑は5日午前10時半から実施 する。いずれも1日午後の衆院議院運営委員会理事会で正式決定する。

1日の東京株式相場は続伸。日経平均株価は反落して始まった後、 プラスに転じ、TOPIXは昨年来高値を更新した。日銀の次期執行部 による大胆な金融緩や業績回復への期待が高まり、内需中心に幅広く買 われた。

円は黒田氏起用の日銀人事案が伝わった先月25日早朝に対ドルで一 時、2010年5月以来の安値となる94円77銭まで急落。しかし、同日の海 外市場ではイタリアの政局不安からリスク回避の動きが強まり、90円後 半と1月末以来の高値まで急反発した。

イタリア政局不安

欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領は28日、債務危機の克服 で前進が見られるものの、EU首脳は一段の経済的打撃に備える必要が あると警告した。

イタリアの政局不安を背景にユーロは今週、対ドルで1月7日以来 の安値となる1.3018ドルまで急落。対円でも125円台から一時1月24日 以来の水準となる118円73銭までユーロ安が進んだ。

バークレイズの逆井氏は、イタリアについては「今後大連立が組ま れるのか、あるいは総選挙やり直しとなるのか、その辺が焦点になって くるが、とりあえずその行方が分かるまでは様子見という感じかもしれ ない」と指摘。ただ、「懸念としては残るわけなので、ヘッドラインに は注意したいし、ボラティリティが高くなるのは確か」と話した。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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