木内日銀委員:「日銀券ルール」見直しも検討課題-年限長期化なら

日本銀行の木内登英審議委員は28日 午後、横浜市内で会見し、日銀が長期国債を買い入れる際の制約条件と なっている日銀券ルールについて「見直していくことも検討課題になる かもしれない」と述べた。

木内氏は、資産買い入れ等基金で「仮に年限の長い国債を買ってい くということになると、基金を通じた資産の買い入れと、輪番オペの境 目が不明確になってしまうので、将来的には何らかの工夫が必要だ」と 述べた。日銀は長期国債の買い入れに当たり、保有残高が日銀券発行残 高を上回らないようにする、いわゆる「日銀券ルール」を設けている。

日銀は現在、日銀券の伸びに合わせて長めの資金を市場に供給する のを目的として月1.8兆円、年間21.6兆円の長期国債を買い入れてい る。「輪番オペ」と呼ばれるこの買い入れとは別に、資産買い入れ等基 金において残存期間「1年以上、3年以下」の長期国債を購入している が、これは日銀券ルールの例外扱いとしている。

19日公表された1月21、22日の金融政策決定会合の議事要旨による と、複数の委員がこれを「5年程度まで延長することも考えられる」と 述べたことが分かった。

木内氏は日銀券ルールの見直しについて「正直言ってあまり差し迫 った課題ではないように思うが、将来的には課題になってくる」と指 摘。日銀券ルールは、日銀による長期国債の買い入れが「財政ファイナ ンスではないということを、ある意味で担保しているルールなので、そ ういった重要性にも配慮しながら、将来適当な時期に慎重に判断してい きたい」と語った。

財政再建強化ならより多くの資産購入も

木内氏は講演で、①日銀の当座預金の超過準備に適用している0.1% の付利の引き下げや撤廃②資産買い入れ等基金における買い入れ対象国 債の年限の長期化③リスク性資産の買い入れ拡大-について「コストと ベネフィットを慎重に見極めながら検討することが重要だ」と述べた。

会見では「政府が財政健全化という方針をより強化していくという ことであれば、日銀がより資産を買う余地が高まっていく、あるいは長 めの年限の資産を買っても、財政ファイナンスと誤解されるリスクが低 下していくという点からすると、政府との協調強化も、われわれが今後 金融緩和を進めていく上では非常に重要だ」と語った。

木内氏は日銀が1月22日の金融政策決定会合で2%の物価安定目標 の導入を決めた際、佐藤健裕審議委員とともに反対票を投じたが、2月 の決定会合では「日銀は物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で 2%としている」という文言が含まれた対外公表文に賛成した。

この理由について「2%の物価目標の実現は容易ではないという考 えに変わりはない」としながらも、「目標を導入したことが金融市場の 期待に強く働き掛けたことは確かであり、金融市場に既に反映されたこ とを踏まえると、それは尊重すべきではないかと思った」と述べた。

拙速に物価押し上げはせず

さらに、「2%を掲げたものをまた1%に戻すということになる と、政策に対する信認が損なわれるというマイナス面も大きいし、引き 続き反対という姿勢を示した場合、どこかで2%の物価目標が覆るので はないかという見方が金融市場で広がると、われわれのデフレ脱却に向 けた姿勢が弱いのではないか、政策効果が逆に弱まってしまうのではな いかと考え、2%の物価安定目標に賛成した」と述べた。

木内氏は一方で、「2%は決して容易ではないし、非常に短期間で 達成できるというよりは、相応の時間を要するのではないか。拙速に物 価を目標値に近づけていくというのは、われわれが掲げている物価安定 の目標ではない」と指摘。あくまで日銀が目指しているのは「物価と賃 金、成長率がバランスよく高まっていくことだ」と述べた。