【映画評】10歳で誘拐され8年間監禁された少女の実話

小さな少女が食べ物を乞うている。 暗い地下室でインターホンに向かって話す少女の頬を涙が伝う。ものす ごくおなかがすいているので何でもいいからちょうだいと、少女は懇願 する。上の階にいる男は受話器に向かって「従え、従え、従え」とわめ く。

これは、オーストリア人のナターシャ・カンプシュさんが体験した 恐ろしい実話だ。10歳で誘拐され、地下室に8年間にわたって監禁され 飢えや暴力に苦しんだ。この事件をテーマにした映画「3096日」が28 日、ドイツで公開される。カンプシュさんの手記を基に、現実をありの ままに描写することによって残酷な日々をあぶり出していく。

映画は英語でドイツのチームが撮影。カンプシュさんと緊密に協力 し、犠牲者と誘拐・暴行犯との陰惨で興味深い関係に重点を置いてい る。10歳当時をアメリア・ピジョン、ティーンエージャーになってから をアントニア・キャンベルヒューズが演じている。

ウォルフガング・プリクロピル容疑者は失業中の電気通信エンジニ アだった。カンプシュさんが逃げ出した後、列車に飛び込んで自殺し た。数カ月をかけて地下室に縦2メートル、横3メートルの監禁部屋を 準備し、通学途中だったカンプシュさんを白いバンに押し込んだ。映画 では主に暗く狭い監禁部屋での様子が描かれ、息詰まる緊迫したシーン が続く。

生きようとする意志

容疑者は時に凶暴で時になだめるような態度を見せ、カンプシュさ んの18歳の誕生日にはプレゼントとケーキまで用意する。

「2人のうち生き残れるのが1人だけなのは分かっていた。結局、 それは彼ではなく私だった」。カンプシュさんはそう語ったという。

最も心を動かされるのは、カンプシュさんが監禁部屋で日常生活の 一こまを再現するシーンだ。厳しい先生と児童の二役を演じて学校ごっ こをする。ティーンエージャーになってからはロック音楽に合わせて1 人でダンスを踊る。隔離された状況にもかかわらず、カンプシュさんの 生きようとする意志と現実を直視する能力が、この悲惨な物語に一筋の 希望の光を与えている。

評価は星3つ。評価は、星なしから星5つの6段階で星5つが最 高。

原題:Mad Austrian Beats, Starves, Rapes Girl Held in Cellar: Movie(抜粋)

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