木内日銀委員:必要に応じ果断に緩和、2%実現へ責任持ち取り組む

日本銀行の木内登英審議委員は28日 午前、横浜市内で講演し、「必要に応じて追加的な緩和措置を果断に講 じることを検討する」ことを含め、2%の物価目標の実現に向けた政策 運営に「責任を持って取り組んでいく」と述べた。

日銀は1月22日に2%の物価安定目標の導入を決めたが、木内氏は 佐藤健裕審議委員とともに反対票を投じた。木内氏は「2%の物価安定 目標の実現は容易なことではないとの考えに変わりはない」としながら も、この目標は「日本経済再生に向けた国民全体の一種のスローガンに もなり得る」として前向きな評価を示した。

政府は28日、白川方明日銀総裁の後任に、黒田東彦アジア開発銀行 (ADB)総裁を起用する人事案を国会に提示。副総裁には岩田規久男 学習院大学教授、中曽宏日銀理事をそれぞれ提示した。2%の物価上昇 率の目標を掲げて大胆な金融緩和を求める安倍晋三首相の意向が反映さ れている。

景気について木内氏は、年央ころには緩やかな回復経路に復してい くという日銀の標準的な見通しに対し「私自身は下振れリスクの方をや や大きめに考えている」と指摘。「最大の懸念は海外経済の下振れ」で あり、「わが国の輸出環境には、多少長い目で見ても大きな不確実性が 残ると言わざるを得ない」と述べた。

さらに、「貿易赤字拡大傾向の継続と、その金融市場への影響にも 十分に注意を払う必要がある」と指摘。貿易赤字拡大は「為替市場の需 給関係変化等を通じて円安圧力となり、景気浮揚や輸入物価の上昇など の面から長期金利上昇要因となる」など、金融市場を不安定にさせる可 能性があるため、「実体経済への影響を含め注意が必要だ」と語った。

また財政政策運営の信認が揺らぐと、「長期金利が上昇する可能性 もあり、その上昇の程度によっては銀行システムの不安定性を過度に高 めることも含め、国内経済に大きなマイナスの影響を与える可能性があ る」と述べた。

国債買い入れ余地

木内氏は一方で、政府が日銀との共同声明で財政規律を重視する姿 勢を明確にしたことや、2015年度までにプライマリーバランス(基礎的 財政収支)の赤字の対GDP比を10年度の水準から半減、20年度までに 黒字化させるという財政健全化目標を閣議決定したことを評価。

その上で、「12年度補正予算と中期的な財政健全化策との整合性、 財政健全化への道筋などに関する政府による情報発信により、そうした 政府の姿勢が金融市場にさらに一段と浸透することを通じて、財政ファ イナンス懸念を高めることなく、日銀が国債買い入れを前進させる余地 が広がり、それが2%の物価安定の目標の実現を助けることにもなる」 と述べた。