円ほぼ全面安、対ユーロ121円台-政府が黒田日銀総裁案を提示

東京外国為替市場では、円が主要通 貨に対してほぼ全面安。日本政府が大胆な金融緩和論者で知られる元財 務官の黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁を日本銀行の総裁に充て る人事案を国会に提示したことで、追加緩和期待から円が売られた。

この日の取引は、前日のニューヨーク時間遅くの取引を引き継ぐ格 好で、朝方から円売りが優勢の展開。ユーロ・円相場は一時1ユーロ =121円83銭と3営業日ぶりの水準まで円が売られた。午後4時10分現 在は121円36銭前後。前日の東京と欧州の時間帯には120円を挟んでの推 移だったが、米国時間に入ると株価の大幅上昇を背景に121円台まで円 安が進んだ。

ドル・円相場も一時、2営業日ぶりの円安水準となる1ドル=92 円67銭まで円が売られた。同時刻現在は92円40銭付近で推移している。

セント・ジョージ銀行のエコノミスト、ジャヌ・チャン氏(シドニ ー在勤)は、「安倍首相は日銀に何をしてほしいか明言しているし、黒 田氏は経済成長のための金融緩和を押していくだろう。それが過去数カ 月間の円安の背景にある。そういった全ての期待が現在の円水準に織り 込まれている」と話していた。

政府は、午前11時から開かれた衆参両院の議院運営委員会理事会に 正式提示した日銀人事案で黒田氏の総裁起用のほか、副総裁に岩田規久 男学習院大学教授と中曽宏日銀理事を充てる案も示した。

日銀人事案

元財務官で円売り介入を手掛けた黒田氏(68)は、日銀の年内の追 加金融緩和は正当化できるだろうなどと述べている。安倍晋三首相の意 向が反映された日銀新体制が発足すれば、リフレ派の岩田氏と日銀から 内部昇格する中曽氏が黒田氏の脇を固める格好で、今後の日本の金融政 策が運営されることになる。

スタンダード・チャータード銀行の投資ストラテジスト、ロバー ト・アスピン氏(シンガポール在勤)は、ブルームバーグテレビのイン タビューで、黒田氏と岩田氏の両者が円安に好意的であることを踏まえ て、1年間にわたって円安が進むとみているとしながらも、現時点でド ル・円は「100円を超えないだろう」と述べた。

ドル・円相場は安倍氏が率いる自民党が昨年12月16日の衆院選で圧 勝した後、10%以上の円安・ドル高となっている。今年2月25日には94 円77銭と2010年以来の安値を記録している。

--取材協力:大塚美佳,. Editors: 青木 勝, 山中英典

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