ウォール街のジャンクの帝王らが売り-忍び寄る金利リスク

ジャンク債(高リスク・高利回り 債)を記録的なペースで販売してきたウォール街の引受業者たちが言い 始めた。金利が上がればジャンク債相場が下がるのは当然なのだから、 そうなっても銀行を責めないでくれ――。

ゴールドマン・サックス・グループのレバレッジドファイナンス米 州責任者のクレーグ・パッカー氏は「われわれの仕事はまず第一に、負 債を背負う力があり業績を上げられる企業のために正しい仕組みの案件 をまとめることだ」と述べた。「金利リスクは自然の法則に過ぎない」 という。

JPモルガン・チェースやドイツ銀行、シティグループ、バンク・ オブ・アメリカ(BOA)などはジャンク債市場拡大の恩恵を受けてい る。この市場での引き受け手数料率は高格付け債に比べ3倍近いから だ。同時に、バンカーらは米連邦準備制度の資産購入に支えられた需要 が雲散霧消し相場が下落するリスクも警告する。

ブルームバーグのデータによれば、年初から2月27日までのジャン ク債の引き受け総額は896億ドル(約8兆2800億円)。前年同期を36% 上回る。昨年通年の4330億ドルはこの資産クラスとして過去最高で、 約60億ドルの手数料を生み出した。昨年のジャンク債投資リターン は19%。調査会社モーニングスターによれば、ジャンク債に特化した投 資信託や上場投信(ETF)への資金流入額は330億ドルと11年を55% 上回った。

ウォール街は2008年の信用危機から生じたコストとして980億ドル 以上を費やしている。そこには住宅ローンを裏付けとした商品について 投資家を欺いたとされる問題での罰金などが含まれているが、金融機関 はまたしても、価格が下がりそうな証券を売り歩いている。今回は違う と彼らは言う。

どこが違うかと言えば、今回は投資家にとってのリスクが借り手の 信用力の問題よりもむしろ、指標である国債利回りの上昇にある点 だ。30年ぶり低水準まで下がった金利はある時点で、上がり始めなけれ ばならない。レバレッジドバイアウト(LBO、買収先の資産などを担 保にした借り入れによる買収)のペースは高水準だった危機前の06年 や07年の比ではない。最近発行のジャンク債は低金利への借り換えが多 い。

成長後押しのため米金融当局は4年以上、事実上のゼロ金利を続け ている。米国債と住宅ローン担保証券の購入によって長期金利も過去最 低水準にある。

低金利が高利回り債の需要を高めた結果、ドル建てジャンク債の価 格は先月、額面1ドルに対して105.9セントを付けた。BOAメリルリ ンチのデータが示している。利回りがピークの22.7%から6.54%まで下 がった今、ジャンク債は国債利回り上昇リスクに対して敏感になった。

ブルームバーグ・ニュースがまとめた調査によるとエコノミストら は、10年物米国債の利回りは14年6月までに1ポイント未満の上昇にと どまるとみている。それでも一部の投資家は既に金利上昇に備え始めて いる。今月は、変動金利に連動するレバレッジドローンの市場に記録的 な資金が流れ込んだ。また、大口の社債投資家は短期の証券に資金を移 すことで安全を図っている。一部の銀行も同じ戦略だ。

ピッツバーグを拠点とする銀行、PNCファイナンシャル・サービ シズ・グループのウィリアム・デムチャク社長は「イールドカーブの中 の長い方の部分は手に負えなくなる可能性がある」と言う。4月に最高 経営責任者(CEO)に就任予定の同氏は電話インタビューで、「皆が それを恐れているが、私は人々が考えているより早くそれが起こるので はないかと思っている」と話した。

原題:Wall Street Junk Kings Hurry to Sell Debt Poised to Lose Value(抜粋)

--取材協力:Rich Miller、Laura Marcinek.