ベルルスコーニの逆襲が示すユーロ分裂の力学と闘う鍵-社説

イタリアのベルルスコーニ前首相が 政治の表舞台に帰ってきた事実は、欧州の指導者らに明確なメッセージ を送った。通貨同盟を維持したければ、もっと大胆に取り組むことが必 要だということだ。

今週の総選挙でベルルスコーニ氏は、安定政権の成立を極めて困難 にするのに十分な力を得た。有権者は増税や年金カット、歳出削減など モンティ首相の政策をきっぱりと拒否した。4人に1人のイタリア人は コメディアンに一票を投じるという行動で緊縮への「ノー」を表明し た。選挙結果を受けて株式相場は下落、イタリア10年債利回りは昨年11 月以来の水準まで上昇した。

神経質な市場をなだめながらイタリアやスペインなどの高債務国に 財政再建を迫るという欧州の戦略の複雑さが浮き彫りになった。欧州中 央銀行(ECB)の国債購入の約束は市場を鎮静化させ国債利回りを押 し下げたが、一方で差し迫った破滅の脅威が遠のいた各国の有権者に緊 縮財政を受け入れ続けさせるのは難しくなった。

イタリア人の緊縮への反乱は、不動産税還付などベルルスコーニ氏 の甘言にあおられたものではあるが、他のユーロ圏諸国にも反乱が広が る予兆ともいえる。スペインもギリシャもまだまだ厳しい引き締めが必 要だが、ギリシャの世論調査は既に、緊縮反対の急進左派連合 (SYRIZA)への支持の高まりを示している。

うまく緊縮策を継続できても、それによって財政健全化に不可欠な 経済成長の息の根を止めてしまうという罠にはまるだけかもしれない。 欧州連合(EU)の欧州委員会は先週、ユーロ圏経済が今年もマイナス 成長にとどまると予想した。

最善の解決策

危機脱却は容易ではない。不人気な緊縮策は、痛みが広く共有され ると納得されない限り、なおさら不人気になる。また、ある程度のリス ク共有の仕組みがなければ、多様な経済状況を抱える複数の国々が共通 通貨を持つことはできないだろう。この両方の点で解決策となるのが政 府間の財政移転だ。経済成長国から景気後退国への所得移転は、後者の 調整の痛みを和らげる。そのような仕組みをうまく設計すれば、ドイツ からユーロ圏周辺国への補助金が永久に必要になることはないとわれわ れは論じてきた。

通貨同盟のメンバー国の借り入れ監視も必要だ。例えば、共同発行 または連帯保証されるユーロ債の発行は、借り入れコストを下げると同 時に各国財政に関与する大きな権限をユーロ圏当局に与えるかもしれな い。いずれにしても、危機解決への最善の策はどれも、統合深化につな がるという共通点がある。これについてはドイツの有権者を中心に説得 することが欧州首脳らには求められるだろう。

原題:Berlusconi’s Success Shows Why Europe Needs a Deeper Union: View(抜粋)