ユーロが対ドル7週ぶり安値圏、イタリア政局不安重し-ドル91円後半

東京外国為替市場では、ユーロが対 ドルで前日に続いて約7週間ぶり安値圏で推移。政局不安で借り入れコ ストが上昇しているイタリアでこの日実施される中・長期債の入札を前 に、ユーロは総じて上値の重い展開だった。

ユーロ・ドル相場は、26日に付けた1月7日以来のユーロ安値とな る1ユーロ=1.3018ドルと海外市場で付けた戻り高値の1.3122ドルの範 囲内での動きに終始した。午前には1.30ドル後半から一時1.3042ドルま で下落。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがイタ リアの選挙結果は同国の信用力にとってマイナスで、同国政治の不確実 性が長期化する恐れがあるとの見解を示したことが背景となった。

ユーロ・円相場は1ユーロ=120円を挟んでもみ合う展開。朝方に は120円半ばまで円が弱含んだが、日本株が下げ幅を拡大するにつれて 円買い圧力が強まり、午前に一時119円52銭まで円買いが進む場面もあ った。ドル・円相場も午前に1ドル=92円前半から一時91円63銭まで円 高が進行した。

大和証券の亀岡裕次チーフ為替ストラテジストは、「きのうの FRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言により、早期引き締め 懸念によるリスク回避的な動きは多少抑えられた面はあるが、イタリア の政局不透明感が晴れるまでは、なかなかリスクオンには戻らない」と 予想する。日本銀行への金融緩和期待も「とりあえずピークを付けた感 がある」とし、目先は「調整で円高方向に行きやすい」と言う。

イタリア政府が26日に実施した87億5000万ユーロ(約1兆500億 円)相当の6カ月物証券の入札では、平均落札利回りが1.237%と昨 年10月29日以来の高水準となった。前回の1月29日は0.731%だった。 同政府は27日に5・10年債入札で最大65億ユーロの調達を目指す。

イタリア政局

欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領は26日、エストニアのタ リンで、イタリアの各政党に対し、財政規律と経済改革が後退すれば、 ユーロ圏の危機管理能力への市場の信頼感は崩れるだろうと警告した。

24、25日両日に投票が行われたイタリア総選挙は絶対多数勢力を生 み出さず、ベルサニ民主党党首とベルルスコーニ前首相は再選挙の回避 を目指すとみられる。いずれにしても新議会が招集される3月15日まで は公式の進展はなく、少なくとも1カ月の政治空白は避けられない状況 となる。

三菱東京UFJ銀行シニアアナリストの武田紀久子氏(ロンドン在 勤)は、この半年の欧州情勢の緊張緩和の背景にはイタリアやスペイン の国債市場の安定があったが、「その前提が一つ揺らいでしまったのは 事実」だと指摘。市場はボラティリティ(相場変動率)が高い時間帯」 に入った可能性があると話す。

ユーロは今週、対ドルで1.33ドル台から1.30ドル台まで急落。26日 には一時1.3018ドルと1月7日以来の安値を付けた。

リスク回避

大和証の亀岡氏は、イタリアの政治リスクに加え、米国の歳出削減 問題があるとし、3月1日に発効する自動削減が現実となれば、「リス ク回避要因になる」と指摘する。

ベイナー米下院議長(共和)は26日、自動的な歳出削減の回避で上 院がまず「腰を上げて」代替案を通過させるまでは下院は動くことはな いと述べた。

FRBのバーナンキ議長は同日の上院銀行委員会での議会証言で、 議会が自動歳出削減を回避できなかった場合、経済に「著しい」負担に なるとし、議会に対して、予算を「持続可能な長期の軌道」に乗せるよ う求めた。また、FRBによる資産購入については、景気拡大を支援し ている一方で、インフレや資産価格バブルを引き起こすリスクはほとん どないと説明した。議長は27日に下院委員会で証言する。

ドル・円は週明け早朝に94円77銭と2010年5月以来のドル高・円安 水準を付けたが、イタリア政局不安からその後90円後半まで急落した。 ドイツ銀行の通貨ストラテジスト、ジョン・ホーナー氏(シドニー在 勤)は、「時間とともに日銀のより積極的な金融緩和が円の重しとなり 続ける」が、実際にどのような政策をとるのかの見極めには何週間もか かるため、目先は円売りの勢いが削がれる可能性があると指摘してい る。

--取材協力:大塚美佳、Kevin Buckland. Editors: 青木 勝, 山中英典