「岩田副総裁案」、国会同意の公算-28日にも日銀人事提示

安倍晋三政権は、日本銀行の次期総 裁に元財務官の黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁を充てるなどの 日銀人事案を国会との調整が付けば、28日に衆参両院に正式提示する方 針。このうち、岩田規久男学習院大学教授を副総裁とする案は、みんな の党と新党改革が賛成する方針で、他の野党や無所属から2人以上賛成 に回れば、民主党が反対しても参院で同意される公算が強まっている。

みんなの党の江田憲司幹事長は26日午後の記者会見で、岩田氏につ いて「わが党が推挙した人で賛成する」と明言した。同党は黒田氏の総 裁起用と、日銀理事の中曽宏副総裁案には反対する方針だが、こちらは 民主党内で容認論が出ている。

新党改革の荒井広幸幹事長も27日午後、国会内でブルームバーグ・ ニュースの取材に対し、正副総裁の人事案について「3人は組織的にも 対外的にも政府との関係においても非常にバランスの取れたいい人事で 評価している。所信を聞いて決めるが、同意する方向だ」との見解を示 した。

参院は自民、公明両党で過半数に16議席足りないものの、岩田氏起 用案に関しては参院に12議席あるみんなの党、2議席の新党改革が賛成 に回ることで、日本維新の会(3議席)や無所属から2人以上の協力で 民主党が反対しても同意される。民主党は離党届を提出済みの2人を除 くと85議席。

反対論

一方、民主党内には黒田、中曽両氏の起用案には容認論が広がりつ つあるが、リフレ派で日銀法改正などを主張してきた岩田氏には反対論 が出ている。

同党の津村啓介衆院議員は26日、ブルームバーグ・ニュースの取材 に対して、岩田氏起用案に「断固反対だ」と指摘。その理由として同氏 が「インフレ目標を実現できなかった場合、政府に日銀総裁の解任権を 与えるための日銀法改正を盛んに主張している」ことを挙げた。岩田氏 が2011年の東日本大震災からの復興財源は日銀の国債直接引き受けで賄 うよう求めたことなども問題視。直接引き受けは「マーケットでは禁じ 手とされている」と指摘した。

民主党の笠浩史筆頭副幹事長は、総裁人事について「個人的には黒 田さんには賛成だ。見識とこれまでの実績とトータルで判断して十分に 評価するに足る人材だ」との考えを示した。津村氏も黒田氏の金融政策 や日銀の政府からの独立性に関する「所見」を見極めた上で、「賛成す ることもあり得る」と語った。

民主党は武藤敏郎元財務事務次官の総裁起用などに反対した08年の 国会では、日銀出身者の正副総裁起用については賛成した経緯がある。 津村氏は中曽氏について「国際的に非常に高名で、日銀の組織運営の面 でも非常に人望のある方で適任だ。民主党が反対する理由はない」と語 った。