ユーロが対ドルで6週ぶり安値、イタリア政局不安-円じり高

東京外国為替市場ではユーロが対ド ルで約6週間ぶり安値を更新。イタリアの政局混迷や財政再建後退への 懸念を背景にユーロが急落した海外市場の流れが続いた。また、円は海 外市場で急伸した後、反落して始まったが、リスク回避に伴う買い圧力 が強く、午後にはじり高となった。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で1ユーロ=1.33ドル台から一 時1.3048ドルまでユーロが急落。この日の東京市場では安値圏でもみ合 っていたが、午後にはユーロ売りが優勢となり、一時1.3039ドルと1 月10日の安値に並んだ。午後4時現在は1.3055ドル前後。

一方、ドル・円相場は1ドル=91円後半から一時92円75銭まで円売 りが進んだが、日本株が下げ幅を拡大する中、午後には再び92円台を割 り込む展開となった。

オンライン為替取引のオージーフォレックスのチーフカレンシース トラテジスト、ジム・ブロンダス氏(シドニー在勤)は、ブルームバー グ・テレビジョンの番組で、「市場にとっての真の懸念はイタリアの債 券利回りが、6%あるいは7%に戻るのかどうかということになる」と 指摘。また、安全資産としての円への逃避は「必ずしも終わっていな い」と言い、ドル・円は今後数週間で90円に向かって下落する可能性が あると語った。

週明け25日のオセアニア市場では日銀の次期正副総裁人事案を手掛 かりに円売りが先行。ドル・円は一時94円77銭と2010年5月以来の円安 値を更新した。しかし、同日の米国市場ではイタリアの政局不安から円 が急反発し、一時90円88銭と1月31日以来の水準まで円高が進んだ。

イタリア選挙

イタリアで25日開票が行われた上院および下院選挙は、いずれの政 党連合も安定多数を確保できない結果となった。優勢が伝えられていた 民主党のベルサニ党首を中心とする勢力は下院選で辛うじて勝利したも のの、反緊縮財政のベルルスコーニ前首相率いる陣営との得票率の差 は0.5ポイント未満にとどまった。イタリアの選挙ルールではベルサニ 陣営に下院630議席の過半数が配分されるが、退任するモンティ暫定首 相と連立を組んだとしても上院を制する議席を確保できない。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のシニア通貨ストラテ ジスト、スー・トリン氏は、「イタリアの選挙結果を背景とした動きを 説明するには、メルトダウンという表現が一番だろう。ユーロは今、数 週間、あるいは数カ月間の政情不安を織り込んでいる」と話した。

こうした中、イタリア政府は26、27日に国債入札を実施する。議会 選挙で明確な多数派勢力が誕生せず、年内に再選挙実施の可能性が浮上 したことへの投資家の反応を見極めることになる。

イタリアの政局不安を背景に、25日の欧州債市場ではイタリア債が 下落(利回りは上昇)。米国市場ではS&P500種株価指数が昨年11月 以来の大幅安となり、逃避需要の高まりから米国債相場は上昇した。26 日の東京株式相場は3営業日ぶりに反落。

リスク回避で円高

甘利明経済再生担当相は26日午前の閣議後の会見で、イタリアの総 選挙後に円高が進んだ背景について、現政権が進めてきた財政再建路線 とは立場を異にする対立陣営の勢いが強かったことから、「『ユーロ対 ほかの通貨』に対する反応が出ているのではないかと思う」との見方を 示した。

ユーロ・円相場は海外時間に1ユーロ=125円前半から一時1月24 日以来の水準となる118円73銭までユーロ安・円高が進行。この日の東 京市場ではいったん121円36銭まで値を戻したが、ユーロの上値は重 く、午後は120円ちょうど前後で一進一退の展開となった。

共同通信によると、自民党の石破茂、公明党の井上義久両幹事長 は26日午前、都内のホテルで会談し、次期日銀正副総裁の同意人事案を 来月14日に衆院本会議で、翌15日に参院本会議で採決する方針を確認し た。日銀の次期総裁に元財務官の黒田東彦アジア開発銀行総裁、副総裁 に岩田規久男学習院大教授と中曽宏日銀理事を起用する政府案につい て、野党第1党の民主党では容認論が広がっているという。

FRB議長が議会証言

一方、米国では連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長 が26、27日の両日に金融政策に関する半期に一度の議会証言を行う。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、「バーナ ンキ議長は慎重なので、必要であれば量的緩和をするというスタンスは 変えていかないだろう」と言い、「緩和期待が高まればドル売りにな る」と話した。

--取材協力:大塚美佳、Candice Zachariahs、Kevin Buckland、Mariko Ishikawa. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨