イタリア選挙:緊縮策を有権者拒否、五つ星躍進-欧州不安が再燃

イタリアで行われた議会選挙は、財 政緊縮路線を有権者が拒否する一方、元人気コメディアンのベッペ・グ リッロ氏が主導する「五つ星運動」が政治勢力としての地位を確立し た。いずれの政党連合も安定多数を確保できない結果となったことで、 欧州債務危機をめぐる市場の不安が再燃した。

優勢が伝えられた民主党のベルサニ党首を中心とする中道左派の下 院でのリードは、0.5ポイント未満にとどまった。脱税疑惑などのスキ ャンダルに揺れるベルルスコーニ前首相率いる中道右派陣営は、上院で 過半数にこそ届かなかったが、他の勢力を阻止できる議席を確保。中道 右派は票の数え直しも要求している。「五つ星運動」は最初の国政選挙 で25%以上の支持を獲得した。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の 欧州マクロクレジット調査責任者、アルベルト・ガロ氏は「欧州各地の 政治状況は事実上、緊縮策や改革を掲げる勢力と、台頭するポピュリス ト(大衆迎合主義)運動との争いになっている。緊縮は痛みを伴うが、 改革を遅れずに実行に移さなければ、社会不安とポピュリズムをまん延 させるリスクがある」と指摘。「それはギリシャでこれまで発生せず、 スペインやポルトガルでも起きていないが、イタリアはその危険に非常 に近い」と話す。

ベルルスコーニ前首相とグリッロ氏は、いずれもモンティ暫定首相 が導入した緊縮策の見直しを唱えており、両陣営を合わせた得票率は 約55%に達した。イタリアの選挙結果が次第に明らかになる中で、ユー ロは一時ドルに対して6週間ぶりの安値に下落し、イタリア国債も値下 がりした。ロンドン時間午前8時14分(日本時間午後5時14分)現在 の10年債利回りは前日比32ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 上昇の4.81%と、昨年12月11日以来の高水準。

内務省が発表した最終結果によると、下院での得票率はベルサニ陣 営が29.54%、ベルルスコーニ陣営が29.18%、五つ星運動が25.55%だ った。上院はベルサニ陣営が31.63%、ベルルスコーニ陣営が30.72%、 五つ星運動が23.79%。

フェデレーテッド・インベスターズで資産の運用・管理に携わるシ ニア債券ストラテジスト、ジョゼフ・バレストリノ氏はイタリアの選挙 結果について、「人々は立ち止まって、ポートフォリオから多少のリス クを取り除くことを求められるだろう」と分析する。

グリッロ氏と連立協議も

イタリアの政権運営では、与党陣営が上下両院で過半数を確保する 必要があるが、これは現行ルールでは実現が難しい。ナポリターノ伊大 統領は今回の選挙結果を受けて、モンティ氏が率いたような暫定政府を 設置し、再選挙の準備として選挙法の改正を推進する可能性がある。

中道左派のベルサニ氏は政権発足に向けて、グリッロ氏との連携を 探る可能性を示唆しているが、グリッロ氏はそのような申し入れを拒否 する構えだ。3月15日に新たな議会が招集されるまでは、正式な手続き を取ることはできない。

集計によれば、ベルサニ陣営は下院で定数630議席のうち340議席を 獲得。同氏の側近らは下院での勝利を宣言し、中道左派主導で政権発足 を目指すべきだと発言した。ベルルスコーニ氏は敗北を認めることを拒 否。モンティ氏の中道勢力の得票率は10.6%。

内務省によると、上院の定数315議席のうちベルサニ陣営が113議 席、ベルルスコーニ陣営が116議席、五つ星運動が54議席、モンティ陣 営は18議席を獲得した。

ドイツとユーロへの反逆

イタリア民主党の副党首でベルサニ氏の盟友でもあるエンリコ・レ ッタ氏はイタリアでいずれの陣営も議会で絶対多数を確保できない状況 は、メルケル首相主導で緊縮策を進める欧州連合(EU)に見直しを迫 るだろうと指摘。国営イタリア放送協会(RAI)の番組で、「この予 想される選挙結果は、イタリアに対して欧州レベルで非常に重大な意味 を持つだろう。これらの予測に基づけば、イタリアの有権者の半分以上 が緊縮策とユーロ、ドイツのメルケル首相に異を唱える投票行動を示し た」と語った。

原題:Italy Renews Market Jitters as Voters Reject Monti Austerity (2)(抜粋)

--取材協力:Tommaso Ebhardt、Francesca Cinelli、Andrew Davis、Alessandra Migliaccio、Chiara Vasarri、Lorenzo Totaro、Daniel Kruger、Jerrold Colten、Dan Liefgreen.