【今週の債券】長期金利0.7%割れ試す展開、日銀総裁人事や好需給で

今週の債券市場で長期金利は0.7% 割れを試す展開が予想されている。焦点の日銀総裁人事について、市場 では誰が就任しても最初の金融緩和策は国債買い入れとの見方が出てお り、金利低下圧力が掛かりやすいことが背景。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.69%-0.76%となった。0.7%割れとなれば、昨年12月12 日以来となる。前週末終値は0.72%。

政府は今週、次期日銀正副裁人事案を衆参両院の議院運営委員会理 事会に内示する見通し。岩田一政元日銀副総裁、黒田東彦元財務官、岩 田規久男学習院大教授、武藤敏郎元財務次官、伊藤隆敏東大大学院教授 などが有力候補に挙がっている。

JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は 「誰が日銀総裁になるのかが焦点。誰になるかで反応が違ってくる」と 話した。前週の外国為替市場では、武藤氏が候補から外れたとの報道を 受けて円が売られる場面があった。金融緩和の踏み込み度合いが他の候 補より穏やかという市場参加者の見方を反映した。

安倍晋三首相は24日、日銀の次期総裁に黒田アジア開発銀行総裁を 充てる意向を固め、最終調整に入ったと共同通信が報じた。副総裁には 岩田学習院大教授、中曽宏日銀理事を起用する案が有力だという。

もっとも、RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは「次 期日銀総裁が誰でもまずは国債買い入れの拡大だ」と指摘。パインブリ ッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長は「金融緩和の選択肢と して国債買い入れ対象年限を延ばす可能性が高く、先物や6-7年ゾー ン近辺が堅調になるのではないか」と話した。

投資家が月末に向けて保有債券の年限を長期化する買いが見込まれ ており、需給の良さが相場を支える見込み。パインブリッジの松川氏は 「月末を控えているので超長期ゾーンは崩れないだろう」とみる。

財務省は28日、2年債利付国債(3月債行)の入札を実施する。22 日の入札前市場で2年物は0.05%程度で推移しており、表面利率(クー ポン)は据え置きの0.1%となる見込み。発行額は前回債と同額の2 兆7000億円程度。

経済指標では、28日に鉱工業生産、3月1日に消費者物価指数 (CPI)、家計調査などが発表される。ブルームバーグ・ニュースの 予測調査によると、1月の生産指数は前月比1.5%上昇、生鮮食品を除 く全国のコアCPIは前年同月比比0.2%低下、全世帯・消費支出は前 年同月比比0.4%増加がそれぞれ見込まれている。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は3月物、10年国債利回りは327回債。

◎みずほ信託銀行債券運用部の吉野剛仁チーフファンドマネジャー

先物3月物144円20銭-144円80銭

10年国債利回り=0.69%-0.75%

「長期金利は好需給を支えに0.7%台前半での推移が続く。株高に 伴って債券での利益確定売りの必要性が弱まるため、3月はやや需給が 緩むも金利上昇までは至らないとみている。また、外部材料は急ピッチ の円安や株高が一段落するタイミング。日銀人事案でよほどリフレ派の 提示がないかぎり、しばらく国内株の上値は重い展開だろう」

◎クレディ・スイス証券の宮坂知宏債券調査部長

先物3月物144円20銭-144円70銭

10年国債利回り=0.70%-0.75%

「高値圏でのレンジ相場。株から債券へのリバランス(再調整)や 月末に向けた保有債券の年限長期化の影響も、ある程度は買い進められ た様子だ。2年債入札で強い需要が続き、残存2-3年ゾーンの需給が さらに締まってくるようだと、日銀による国債買い入れ年限の延長を一 段と織り込んで買われる可能性もある」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物3月物144円00銭-144円75銭

10年国債利回り=0.69%-0.75%

「安倍政権の金融政策に対する姿勢を見る上で、総裁・副総裁日銀 人事と市場の反応に注目。官僚や日銀出身者はバランス感覚はあっても デフレ脱却を貫けないのではないか。中途半端な人事になれば、円高・ 株安要因になる可能性もある。ただ、どちらに転んでも債券市場では需 給が良好なため、結局は金利低下の方向とみている」

◎SMBC日興証券の土井俊祐氏

先物3月物144円20銭-144円80銭

10年国債利回り=0.70%-0.76%

「海外においては大きなイベントを通過する中、『質への逃避』の 巻き戻しが生じる可能性もあるが、日銀正副総裁人事案が強く意識され て、金利上昇は抑制される見通し。また、3カ月に一度の債券インデッ クスのデュレーション(期間)の延伸も強く意識されて、超長期ゾーン も引き続き堅調に推移するとみている」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎. Editors: 山中英典, 崎浜秀磨

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