【日本株週間展望】もみ合い、日銀人事に固唾-次幕へ一呼吸

2月4週(25日-3月1日)の日本 株はもみ合いとなりそうだ。政府が日本銀行の総裁、副総裁人事案を国 会に示す見通しで、実際の同意まで積極的な買いは見送られる。市場で 候補に挙がっている人材なら、デフレ脱却を目指す安倍政権との協調は 必至で、3カ月に及んだ期待先行の上昇相場に一服感も出やすい。

東海東京調査センターの中井裕幸専務は、「総裁は『リフレ派』と される人になろうが、候補者の中でも『学者がだめ』『財務省がだめ』 と言われ、政治家に人気がない人もいて限られる」と指摘。新総裁への 期待で株価も調整なく上がってきたため、「いったんは材料出尽くしに なる可能性が高い」とみている。

ただ中井氏は、20カ国・地域(G20)会合を経て円安の勢いが鈍る 為替相場も、「米国が対中国戦略、シェールガス革命などを背景に強い ドルを志向し始め、日本の政策にも容認姿勢を見せ、口先介入がなくて もファンダメンタルズ、金利差から円安は進む」と予想。企業業績の上 方修正期待も高まるため、「押し目買いスタンスで良い」と話した。第 3週の日経平均株価は、週間で1.9%高の1万1385円94銭と続伸した。

菅義偉官房長官によると、安倍晋三首相が米国から帰国後、第4週 中にも新しい日銀総裁、副総裁人事案を国会に提示する見込み。菅長官 は会見で、「3月19日までにはしっかりとした体制を取りたい」とし、 「逆算すると、そうした状況になる」としている。安倍首相も参院予算 委員会の答弁で、人事を訪米後に検討すると述べた。3月19日は2人の 副総裁の任期満了日で、白川方明総裁は4月8日の自身の任期満了を待 たず、副総裁と同時に辞任する。首相は答弁で、総裁人事は「私と同じ 考え方を有するデフレ脱却に強い意思と能力を持った方にお願いした い」「3人セットで、バランスも含めて検討する」方針を示した。

財務省OBに市場はNO

ゴールドマン・サックス証券のエコノミスト、馬場直彦氏は「円 安・株高をけん引してきた海外投資家は、正副総裁人事に非常に高い関 心を示している」とし、海外勢の多くが「財務省出身者が総裁に選出さ れると、相対的に『失望』と位置付けている点には留意」が必要とし た。財務省OBの選出は過去の日銀たすき掛け人事への逆行を意味し、 安倍首相が言う非伝統的、次元の違う金融緩和とは概念的に相いれず、 首相のリーダーシップに懸念が生じるためだ。

国内メディアや証券会社のエコノミストの間で取り沙汰される新総 裁候補者は、元財務省事務次官で日銀副総裁の経験者でもある武藤敏郎 大和総研理事長、元財務官の黒田東彦アジア開発銀行総裁、学識者では 1月15日の首相との意見交換会にも出席した学習院大学の岩田規久男教 授に加え、東京大学大学院の伊藤隆敏教授など。元副総裁の岩田一政日 本経済研究センター理事長、竹中平蔵慶応大学教授の名も挙がる。

与野党ねじれの続く参院で一定勢力を持つみんなの党の渡辺喜美代 表は民間人の登用を主張、「3代続けて日銀プロパーで、取り戻したい 気持ちは分かるが、役所の都合だけを考え、認めたら日本の復活などあ り得ない」と、会見で財務省OBの登用案ををけん制した。政府の人事 案提示後に与野党間の申し合わせがあり、衆参両院での採決は3月上旬 になりそうで、投資家も見切り発車しにくい状況に置かれている。

円安踊り場

日本への名指し批判は避けたが、「競争力のために為替レートを目 的としない」との共同声明で締めくくったG20財務相・中央銀行総裁会 議以降、新興国や欧州からの円安誘導批判をかわそうと、安倍政権中枢 からの為替に絡む発言はトーンダウン。ドル・円チャートが、昨年11月 中旬からことし2月中旬までの円安局面が目先の踊り場入りを示すこと も日本株の重しになる。世界の投機家らの円売りポジションを示す米商 品先物取引委員会(CFTC)のデータでも、円の売り越し幅は2週連 続で縮小中だ。

国内企業の昨年10-12月期決算の発表も終わり、市場参加者は次の 相場ステージに向け新たな材料を探している。JPモルガン証券の株式 調査部長、イェスパー・コール氏は「日本株の見通しに強気であるが、 向こう3-4カ月は現行水準で調整する」と予想。今後は、「マクロ改 善という恩恵を、将来の成長戦略に向けた投資に充てることを企業経営 者が実際に示すこと」を求める。

株再評価の流れ、調整軽微に

とはいえ、売買代金シェアで58%の海外投資家、31%の個人が日本 経済や日本株に対する極端な弱気を修正、海外勢の本国経済の改善基調 もリスク資産の株式に目を向きやすくさせており、急激な株価下落も想 定しにくい局面だ。

ドイツ銀行ニューヨークのグローバル金利チームヘッド、ドミニ ク・コンスタム氏は引き続き株式に強気とし、欧州で2回目の長期リフ ァイナンス・オペ(LTRO)の返済、イタリア総選挙、米国で3月1 日発動予定の自動歳出削減措置など「数多くのイベントリスクが差し迫 っている」が、欧州ではリスクオンに傾き、自動歳出削減措置も先送り されないとみており、「市場は財政引き締めには目をつぶって、経済見 通しの改善に目を向けるだろう」と読む。

株式投資の根拠になる企業業績も好転している。みずほ証券リサー チ&コンサルティングのまとめで、東証1部上場企業の業績モメンタム を示すリビジョン・インデックス(RI)は20日時点でプラス6.7% と、1月のマイナス10%から改善。月間でプラスなら、6カ月ぶりだ。

ブルームバーグ・データによると、日経平均の13年予想ベースの PERは21倍と、米S&P500種株価指数の13倍、独DAX指数や香港 ハンセン指数の11倍を上回る現状だが、東海東京調査センターの中井氏 は来期の増益予想を踏まえるとバリュエーションも低下していく、と指 摘。さらに、「国内の機関投資家を回っても、株式の組み入れを増やす ことを考えている。投資家層の幅の広がりが見込まれる」と言う。

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