トヨタ車の自動車輸送の活発化でタイが中国超える生産拠点へ

タイで生産した自動車を中東や南米 に運び、販売するトヨタ自動車の事業戦略が、海運会社の自動車輸送を 活発化させている。

ピックアップトラックの「ハイラックス」やスポーツ型多目的車 (SUV)の「フォーチュナー」の輸出に支えられタイは昨年、中国を 抜きトヨタにとって世界で3番目に大きな生産拠点となった。

タイに3工場を持つトヨタは、2015年までに新興国の販売台数を全 体の5割程度に引き上げる計画で、タイは新興国戦略の主要拠点として 投資を進めている。

トヨタの生産の伸びに伴って、同社を最大顧客としている日本郵船 は今年度、5年ぶり高水準の345万台の車両輸送を見込んでいる。郵船 広報担当の佐々木康治氏は「タイへの寄港数は年間で約150回、月間に 直して12から13回寄港している」とし、輸送台数については、「配船の サイズを変更することで対応しており、ここ数年、寄港回数の大きな変 動はない」と述べた。

ホンダと日産自動車はタイでの生産能力を引き上げるため、合わせ て8億5000万ドル(約790億円)を投じる計画だ。大部分を国内市場向 けに生産している中国とは対照的に、タイへの投資は同国を他の途上国 への輸出基地とするためのものだ。こうした自動車各社の動きを受け て、郵船は輸送船を増強しているほか、商船三井も自動車輸送が過去最 大に膨らむと予想している。

バークレイズ証券の姫野良太アナリストは、日本国内での自動車生 産は減少傾向になるのに対し、「タイは港湾が整備されており、経済が 拡大しているアジアにも近い」ことから、海運会社にとって「タイは成 長市場だ」と述べた。

賃料の上昇

RSプラトー・マーケッツによると、最大7000台の自動車の輸送が 可能なチャーター船の賃料は昨年、1日当たり2万4700ドルだったが、 今年は2万4800ドルに上がる可能性がある。同社のアナリスト、ハーマ ン・ヒルダン氏は、15年には2万8000ドルへと大幅に上昇することが見 込まれるという。

ブルームバーグがまとめたデータによると、世界の自動車輸送船数 は今月の時点で730隻と、11年末の700隻から増加している。日産は昨 年11月、110億バーツ(約344億円)を投入しタイで2番目の工場を建設 すると発表。ホンダも今月、生産能力が年12万台の新工場建設のため、 約446億円を投資すると発表した。

郵船は、自動車輸送船の規模を11年度末時点の121隻から16年度末 までに130隻に増やす計画。昨年10月、リーマンショック後初となる4 隻の自動車輸送船の建造を決定し、15年までに竣工する予定。

独立系投資顧問会社、バリューサーチ投資顧問の松野実社長は、タ イからの輸出の伸びについて「洪水の影響で前年度が悪かったことも加 えて回復がより顕著に見える」と述べた上で、「将来的には、アセアン を一つの地域とみなすならば将来的には有望な市場になることは間違い ない」と語った。

さらに松野氏は「自動車を含め幅広い日本の製造業にとっては、中 国一国によりかかる、いわゆるチャイナリスクを分散する動きのなかで タイなどのアセアン加盟各国での展開が大切になってくる」との見方を 示した。

--取材協力:松田潔社

--取材協力:. Editors: 室谷哲毅, 笠原文彦

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