円とドルが上昇、アジア株安でリスク回避-ドル円は93円前半

東京外国為替市場では円とドルが上 昇。中国株などアジア株の下落を背景にリスク回避の動きが強まり、相 対的に安全とされる円やドルが選好された。

ブルームバーグ・データによると、午後3時40分現在、円は主要通 貨16通貨全てに対して前日終値比で上昇。ドルも円以外の通貨に対して 上昇し、対ユーロでは6週間ぶり高値を付けた。

IG証券のマーケットアナリスト、石川順一氏は、「日経平均が下 がっており、株安によりリスク回避による円の買い戻しが強まってい る。また、商品相場が軟調なので、対豪ドルでもそうした傾向が強まっ ている」と説明。全般的に「リスク回避ムードだ」と指摘した。

ユーロ・円相場は1ユーロ=124円前半からいったん124円71銭まで 円安に振れたが、その後じりじりと円高が進み、午後には4営業日ぶり の水準となる123円64銭を付けた。

また、ユーロ・ドル相場は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事 録を手掛かりにユーロ安・ドル高が進んだ海外市場の流れが継続。一時 1ユーロ=1.3236ドルと1月10日以来の水準まで下げた。

一方、ドル・円相場は朝方に1ドル=93円87銭まで円安に振れた が、午後には93円35銭まで円が強含む展開となった。

株安でリスク回避

21日の東京株式相場は反落。米国の金融量的緩和が早期に縮小する との懸念や中国株式市場の大幅安を受けて、景気敏感業種が総じて売ら れた。不動産価格抑制方針を打ち出した中国株は急落。アジア株はほぼ 全面安となっている。

前日の米株式相場もFOMC議事録を嫌気して反落。また、商品フ ァンドがポジションを手じまっているとの観測を背景に貴金属相場や原 油先物相場は大幅安となった。

バークレイズのFXストラテジスト、逆井雄紀氏(ニューヨーク在 勤)は、FOMC議事録ではメンバーの中で量的緩和をこれ以上やるこ とに対するコストへの懸念が増していることが示されたとし、「オープ ンエンドと言いながらも半永久的にやり続けることはないのかなという ことを再確認した」と指摘。その上で、量的緩和の早期縮小の思惑が広 がると、株は下がると話した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が20日公表したFOMC(1 月29、30日開催)の議事録によれば、毎月850億ドルという資産購入の ペース変更、停止あるいは継続について参加者の見解が割れた。議事録 では、数人は「景気見通しの変化もしくは資産購入の効果とコストに対 する評価の変化に応じて、委員会は資産購入のペースを変える準備をす べきだと強調した」と記された。

日銀総裁人事

21日付の毎日新聞朝刊は、日本銀行の白川方明総裁の後任人事で、 岩田一政元日銀副総裁と黒田東彦元財務官の2氏を軸に調整される見通 しが強まったとが伝えた。岩田規久男学習院大教授を推す声もあるとい う。情報源は示していない。

一方、安倍晋三首相は朝日新聞とのインタビューで、日銀総裁人事 について、「財務省は何でも駄目との考え方は取らない。財務省の次官 だったから、というのも問題外。出自は問題でない」と語った。

政府は白川総裁の後任人事について、安倍首相の米国訪問後となる 来週中に国会に提示する方針。首相は21日出発、24日帰国の予定で訪米 し、オバマ大統領と初の首脳会談を行う。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、総裁候補の中で 武藤敏郎元財務次官が一番円高に振れやすいシナリオとみられている が、「日銀総裁人事で円高に大きく振れる可能性は低い」と予想。大体 な金融緩和を主張する安倍政権の下での総裁就任であるため、金融政策 の方向性は「少なくとも、白川総裁路線とは違ってくる」と言い、目先 は株安で円高圧力がかかりやすい局面があるものの、基本はドル高・円 安の流れは変わっていないと語った。

--取材協力:. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨