欧州は馬肉混入で大騒ぎ、中国では「有毒偽羊肉」

欧州で騒動となっている加工牛肉製 品への馬肉混入問題について、世界中で中国国営の中国中央テレビ局( CCTV)ほど熱心に報じているメディアはない。

この1週間半、CCTVは馬肉混入事件の最新の情報を伝えなけれ ばまともなニュース番組ではないと言わんばかりだった。CCTVがあ まりに熱心に報じるので、2月19日午後に検索した時点で同局の公式ウ ェブサイトには「馬肉」の文字のある映像が313件もあった。

なぜ中国に無関係な欧州の事件がこれほど重大ニュース扱いになる のか。中国版ツイッター「新浪微博」でハンドル名「異型の魚座」の投 稿者はある説を披露した。この投稿者はまず、中国の国営通信社の海外 特派員の話を紹介する。

「中国国内で何かが起こると、特派員らは派遣先の国で起こってい る似た事象を探すように命じられる。例えば、中国で地滑りが起きる と、派遣先の国での地滑りのニュースを探さなければならない。中国で 橋が崩れれば同じような事件を見つけなければならない」。「似たニュ ースがテレビ放映されると中国人はそれが世界中で起こっている問題で 中国だけが困っているわけではないと安心する。最近は馬肉の話をして いる。これは中国に羊肉で大問題があるからだ」と特派員は説明したと いう。

40トン以上

実は中国では最近、国営ラジオの国際放送が「有毒偽羊肉」につい て報じ、大問題になっている。この偽羊肉は中国北部で40トン以上が見 つかり押収された。食品をめぐる中国での数多いスキャンダルの中で最 新のこの騒動は、安いあひる肉に有毒化学物質と羊の油を混ぜたものが より値段の高い子羊肉として売られていたというものだ。09年には有毒 ではないが羊の尿にあひる肉を浸して羊肉の風味を持たせるという事件 があった。

有毒偽羊肉は危険であり、欧州の馬肉問題に比べはるかにひどい話 な上、中国自身の問題であるにもかかわらず、CCTVはこのスキャン ダルについては17日に1回報じたきりだ。他の国営メディアもCCTV ほどではないが、羊肉より馬肉を重点的に伝えている。

もちろん、編集者や番組制作者が何を報じるかを決めるにはいろい ろな要素があるだろう。CCTVの上層部が有毒偽羊肉より馬肉に視聴 者は興味を持っていると思い込んでいることだって十分にあり得る。

しかし実際は、中国人は両方に関心を持っている。中でも、一方の スキャンダルの報道ぶりと、もう片方の現実が示す中国指導部の姿勢が 関心の的だ。19日の検索では「偽羊肉」が49万件ヒット、「馬肉」は43 万件だった。羊肉問題は少なくとも09年からのもので、馬肉は比較的最 近のスキャンダルだということもあるだろう。この検索結果が示してい るのは、これらの投稿の大半は食の安全に関する中国のひどい実績を批 判しているか、国内に深刻な問題が存在するにもかかわらず欧州のスキ ャンダルを嬉々として報じるCCTVを酷評しているかのどちらかだ。

(アダム・ミンター記者は上海在勤のワールド・ビュー執筆者。内容は 記者個人の見解です。)

原題:In China, Horse With a Side of Poisonous Fake Mutton: World View(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE