広がる円安の恩恵、輸出企業のほか観光業など-円反転に警戒感も

安倍晋三政権の登場前後から進んで いる円安の恩恵が幅広い業種に及びつつある。自動車やハイテクなど直 接、円安効果を実感できる輸出企業以外にも、旅費が割安となった外国 人客の増加を見込む観光業界や、積極的な企業買収などで海外売上比率 の高い企業でも増益効果が期待されている。

国内通信3位のソフトバンクと広告代理店の国内最大手電通。外国 企業の大型買収に乗り出した両社は、円安に伴う海外からの利益拡大を 期待できる。ソフトバンクは米スプリント・ネクステルを今年半ばに買 収予定。電通は昨年、ロンドン証券取引所に上場している英広告会社イ ージス・グループの買収を発表した。このほか、ホテルや医薬品といっ た業界にも円安の恩恵が及びつつある。

先週末モスクワで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行 総裁会議では、円安をめぐり日本が名指しで批判される展開は回避され た。これを受け為替市場では事前に強まっていた、円安が反転するとの 警戒感が薄らいでいる。

野村ホールディングスによると、対ドルの円相場が1割下落すると 成長率が0.3ポイント押し上げられる。当面、市場関係者が注視するの は日本銀行の正副総裁人事。政府は来週中にも正副総裁の候補者を国会 に提示する。新体制下で一段の金融緩和が進む見通しとなれば、円売り が加速する可能性もある。

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、円反転を避け るためには、首相は積極的な金融緩和を実行する総裁を必要とすると指 摘。一方、ウエストパック銀行は、日銀が市場参加者の期待に応えられ なければ、円相場は今年末までに1ドル=80円になるとの見通しを示し ている。