円反発、財務相が外債購入否定発言-日銀総裁人事に警戒感も

東京外国為替市場では円が反発。麻 生太郎財務相が外債購入の可能性を否定する発言をしたことをきっかけ に、円買い圧力がかかった。

ドル・円相場は朝方に付けた1ドル=93円97銭から午前の取引で93 円57銭まで円が水準を切り上げ、2営業日ぶりの円高値を付けた。午後 は午前に形成されたレンジ内で推移し、午後4時現在は93円63銭付近で 取引されている。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、すぐに外債購入 を始めることは考えにくいとし、麻生財務相の発言も含めて、「少し円 買いが優勢になってきた感がある」と説明。ここからは日銀の総裁人事 が焦点になるが、量的緩和の拡大や、日銀当座預金の超過準備に適用さ れる付利の撤廃などその他の手段については、「かなり織り込んでここ まで来ている」と言い、95円を超える円売りの材料としては「神通力」 がなくなってきていると説明している。

ユーロ・円相場は一時1ユーロ=124円88銭と、2営業日ぶりの水 準まで円高が進み、その後は125円台前半で推移している。

日銀の政策動向見極め

安倍晋三首相は18日、日銀が進める金融緩和策の手段について、 「国際的に議論になっている外債を買うという考え方もある」との認識 を表明。これについて、麻生財務相はこの日の閣議後の会見で、「外債 購入する気はない」と述べた。

大和証券の亀岡裕次チーフ為替ストラテジストは、麻生財務相の発 言を受けて、外債購入が選択肢として「ほぼなくなったと言ってもい い」と指摘。日銀総裁交代後の金融政策についても当面はこれまで通り で、すでに決めたことを粛々とやっていく見通しで、新たな追加策はな かなか見込みにくいと言い、「日銀をめぐる動きとしては、円高に振れ やすい」と説明している。

一方、菅義偉官房長官がこの日の閣議後会見で明らかにしたところ によると、政府は白川方明日銀総裁の後任人事について、安倍首相の米 国訪問後となる来週中に国会に提示する方針だという。

麻生財務相は会見で、日銀総裁人事について政府・与党が連携を模 索しているみんなの党が財務省出身者に難色を示していることを受け、 「出身母体で決める気はない。能力だ」と述べるとともに、同省出身者 を候補に挙げることが厳しい状況になったわけではないとの見方を示し た。

みんなの党の江田憲司幹事長はこの日の会見で、日銀人事で候補の 1人として指摘されている元日銀副総裁の岩田一政氏の起用について、 反対の姿勢を示している。

コモンウェルス銀行の為替ストラテジスト、ジョゼフ・カパーソ氏 (シドニー在勤)は「日銀の次期総裁がどんな人物になろうと、市場は 一段の緩和に備えている」と指摘する。

また、日銀がこの日に公表した1月の金融政策決定会合の議事要旨 によると、長期国債購入の対象年限を5年に延長する意見が複数委員か ら出ていたことが分かった。外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久 美子研究員は、「緩和期待がはく落しているとは言えない」として、こ のため、一段の円高は阻止されていると説明している。

--取材協力:Kevin Buckland、小宮弘子. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨