【コラム】セクシー男の挑戦、試されているのは習氏-ペセック

風刺で知られる米紙オニオンは2重 あごの金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮第1書記を2012年の最もセク シーな男性に選んだが、この1年でこれほど愉快なジョークはなかっ た。中国共産党機関紙の人民日報がこのオニオン紙の記事を真に受けた ことにはさらに笑えた。

先週、中国に痛手となる新たなジョークを発したのは、ほかならぬ 金第1書記自身だ。中国に依存する北朝鮮が核実験を強行したことは、 北朝鮮に経済支援している中国を慌てさせ、北朝鮮は中国を嘲笑してい るのかと世界はいぶかった。金第1書記のあからさまな反逆はオバマ米 大統領と大統領が目指す米国の核兵器削減への挑戦だ。だが本当に愚弄 されているのは次の中国国家主席となる習近平共産党総書記だろう。

中国は長いこと北朝鮮の「金王朝」を米国の影響力をそぐための有 益なヘッジと見なしてきた。金一族が変わり者だということを中国指導 者は承知しているが、欧米を不安定な状態にしておくため、そのままに している。北朝鮮と国境を接する中国が北朝鮮と韓国の統一を支持する ことはないだろう。そんなことをすれば極めて重要な交渉の切り札を手 放すことになるし、国境沿いに米軍の展開を許すことになる。

北朝鮮の子供じみたヒステリーと自国民2400万人への恥ずべき対応 を無条件に支持することを習氏はやめるべきだ。北朝鮮を抑制すること はできないとする中国の主張は信頼性に欠ける。中国をとどめるものは 何もないはずだ。習氏はまず、農業や製造業、発電といった産業の活性 化を図るため、北朝鮮に自国の経済を改革させ、国際的な専門家を受け 入れることを要求すべきだ。

安保理

中国は北朝鮮の体制が崩壊し、数百万人の難民が押し寄せたり、そ れが契機となって中国国民の間で「アラブの春」が再現されることを恐 れている。北朝鮮経済がさらに衰退することを容認すれば、そうしたリ スクの軽減にはつながらない。習氏は北朝鮮に近代化を促すことで中国 が将来抱えるかもしれない多くの問題を回避することができるかもしれ ない。

習氏は韓国の朴槿恵次期大統領との協力を進める必要もある。朴氏 の父親が大統領だった1974年、母親は北朝鮮の工作員による韓国大統領 暗殺の企てに巻き込まれて殺害された。その朴氏は自分しかできないや り方で北朝鮮との関係を改善させると表明している。

習氏はまた、台頭著しい中国には相応の責任が伴うということを再 認識すべきだ。国連安全保障理事会の常任理事国として、中国は北朝鮮 による3度目の核実験にきちんとした対応を示すことが求められてい る。中国はせめて国連による真の制裁措置を支持しなければならない。 現在のような弱腰の制裁では駄目だ。

許さざる非礼

オバマ大統領による一般教書演説の日に北朝鮮が核実験を強行した ことに米国民は怒りを覚えたが、中国では春節(旧正月)の連休の最中 だった。多くの中国人はこうした北朝鮮の行動を許されざる非礼だと見 なしている。

習氏が最も望まないことは、金第1書記が中国の世界的な立場を犠 牲にするような行動をしてしまうことだろう。仮に北朝鮮があすミサイ ル発射に踏み切ったとしたら、中国を多くの責めを受けることになる。 北朝鮮は既に核兵器保有国で、中国の無条件の支持を後ろ盾として核兵 器で各国政府を脅そうとしている。

米国とその同盟国が金第1書記の不安を高め、先週の攻撃的行為に 走らせたとの中国新華社通信による分析をまともに受け取ることは不可 能だ。これを執筆したのはオニオン紙の冗談好きな編集者ではないかと 思ったほどだ。

オバマ大統領は一般教書演説で意味深なやり方でこの問題を取り上 げた。「北朝鮮の政権は国際的な義務を果たすことでしか安全保障と繁 栄を達成することができないことを知るべきだ」と明言したが、「北朝 鮮」という言葉は「中国」という言葉に容易に置き換えることができ る。

総書記に就任する前の習氏は昨年2月、中国と米国が「2大超大国 間の新たな形態の協力関係」を築くことを望むと述べていた。北朝鮮に 関して言えば、うまいジョークを決める以上のことをする絶好の機会が 習氏に訪れている。(ウィリアム・ペセック)

(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。この コラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:China’s New Leader Needs Grip on Wacko Next Door: William Pesek(抜粋)

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