円全面安、G20通過で売り安心感-対ドルで一時94円台

東京外国為替市場では円が全面安。 週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、円安誘導と 日本が名指しで批判されなかったことから、円売りに安心感が広がっ た。

円は対ドルで一時、1ドル=94円22銭と12日以来の安値へ下落。安 倍晋三首相が外債購入に言及したことも円売りを促した。ただ、その後 は円が下げ渋り、午後4時5分現在は93円90銭前後となっている。

三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチの内 田稔チーフアナリストは、ドル・円について「上を試しにいくような感 じにはなっているが、一方で上の重さも気になる」と指摘。「特に今回 は安倍首相の外債購入も選択肢という発言が報じられても、このぐらい なので、もっと強力な材料がないとどんどん上がっていくのは難しい」 と話した。

ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨全てに対して前 週末比で下落。対ユーロでは前週末のニューヨーク午後遅くに付けた1 ユーロ=124円96銭から、一時125円69銭まで円安に振れた。

一方、ユーロ・ドル相場は前週末に一時1ユーロ=1.3306ドルと1 月24日以来の水準までユーロ安・ドル高が進行。週明けの取引で も1.3326ドルまでユーロがじり安となったが、午後には1.33ドル半ばま で値を戻した。

G20

G20は16日、2日間のモスクワでの協議の後、「競争力のために為 替レートを目的としない」ことなどを明記した共同声明を採択して閉幕 した。声明は3カ月前の会合で合意した声明よりも強い表現となった が、日本を名指しすることは避けた。

ブラジルのマンテガ財務相はG20会議後に記者団に対し、「日本の 姿勢への非難はなかった。意図的な通貨の切り下げではなく、経済を発 展させる政策だと見なされた」と説明した。韓国の朴宰完企画財政相は 「為替レートの特定の水準を示唆するコメントは慎重に行われるべき だ」と語った。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、「緩和的な先進国対 緩和によって通貨高を嫌がる新興国という構図」があったが、G20声明 では「先進国の意向がかなり強く反映された」とし、デフレ克服のため の緩和であって通貨切り下げではないとの日本の主張が国際社会にある 程度受け入れられたことは「円安に弾みをつける可能性がある」と語っ た。

一方、三菱東京UFJ銀の内田氏は、「意図的で人為的な通貨安は 完全にノーだということを確認したことになるため、要人からの為替へ の言及は慎まれることになる」と指摘。また、為替の需給に影響する以 上、「外債購入は選択肢としてかなり難しくなった」と話した。

日銀総裁人事

安倍首相は18日の参院予算委員会で、日銀が進める金融緩和政策の 手段について「国際的に議論になっている外債を買うという考え方もあ る」との認識を示した。

首相はまた、日銀の正副総裁人事について、近々国会に提示する考 えを示し、白川総裁と副総裁2人の後任については「私と同じ考え方を 有する、かつデフレ脱却について強い意思と能力を持った方にお願いし たい」と強調した。

15日の外国為替市場では、次期日銀総裁人事で元財務事務次官の武 藤敏郎氏が有力との観測が浮上し、円買いが進行。対ドルでは一時1週 間ぶりの水準となる92円23銭まで円高が進み、対ユーロでは122円90銭 と1月30日以来の円高値を付けた。

もっとも、その後はG20声明で日本が名指しされないとの見通しを 背景に円売りが再燃。米国で発表された2月のニューヨーク連銀製造業 景況指数やミシガン大学消費者マインド指数が予想を上回ったことも追 い風に、対ドルでは93円後半まで値を戻した。

内田氏は、「日銀総裁人事は非常に注目されているため、もうひと 盛り上がりあってもおかしくない」と指摘。もっとも、「海外勢の期待 が日銀の外債購入や外債ファンドというものにあるとすると、その期待 は満たされない可能性が高いと思う」と語った。

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