【今週の債券】長期金利0.7%台で低下探る-日銀総裁人事や円安修正

今週の債券市場で長期金利は0.7% 台で低下余地を探る展開が予想されている。次期日本銀行総裁に武藤敏 郎前副総裁が有力との見方が出ていることや外国為替市場で円安修正の 動きとなっており、金利に低下圧力が掛かりやすいことが背景。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが15日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.70%-0.80%となった。前週末終値は0.745%。

政府が最終調整している日銀総裁人事が引き続き注目材料だ。前週 末には武藤氏を中心に絞りこみが進んでいるとの報道を受けて債券が買 われた。白川方明日銀総裁は5日、4月8日の任期満了を待たずに、両 副総裁の任期が到来する3月19日に辞職すると表明した。

次期総裁の有力候補として、武藤氏のほかに、黒田東彦アジア開発 銀行(ADB)総裁、岩田一政前副総裁(日本経済研究センター理事 長)、岩田規久男学習院大教授、東京大学大学院の伊藤隆敏教授(元副 財務官)らの名前が挙がっている。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「日銀総裁候補に武藤 氏が挙がれば、リフレ策への期待は下がろう。主要7カ国(G7)の牽 制もあり、政府が円安誘導を急ぐことはなく、経済対策をまとめるのは 春以降だ」と指摘した。前週末の外為市場で円は対ドルで一時1ドル =92円台前半まで円高が進んだ。11日には94円46銭と2年9カ月ぶりの 円安・ドル高水準を付けたが、その後は円安に歯止めが掛かっている。

5年債と20年債入札

19日に5年利付国債の入札が実施される。前週末の入札前市場で5 年物は0.14%程度で推移しており、表面利率(クーポン)は前回債よ り0.1ポイント低下の0.1%か、前回債と同じ0.2%となる見込み。0.1% で決まれば過去最低となる。発行額は2兆7000億円程度。

新発5年債利回りは7日に同債の2000年発行開始以来で最低 の0.135%を記録。その後は0.135-0.145%の値幅で推移している。ド イツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、今回の5年債入札につ いて、中期債は堅調な地合いが続きそうだとし、「入札は問題ないだろ う」と予想する。

一方、21日には20年債入札が実施される。15日の入札前市場で20年 物は1.735%程度で推移した。このため、クーポンは前回債と同じ1.7% か、0.1ポイント高い1.8%が見込まれている。発行額は前回債と同額の 1兆2000億円程度。

15日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は3月物、10年国債利回りは327回債。

◎パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部長

先物3月物143円80銭-144円70銭

10年国債利回り=0.70%-0.78%

「長期金利は0.7%台をじわじわと低下しそう。基金オペが見送ら れて2年金利が下げ止まったため、割高な2-3年ゾーンから5-6年 ゾーンに入れ替える動きが長期債をしっかりさせている面もある。5年 金利は下がりづらくなったが、ロールダウン効果も期待されて入札は順 調か。20年債も生保の期末の入れ替え需要で需給が改善している」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物3月物143円70銭-144円80銭

10年国債利回り=0.70%-0.80%

「日銀総裁人事でだれが就任するのかが極めて重要。市場では新体 制でインフレ政策が行われることを織り込み、短期ゾーンが買われて、 利回り曲線は傾斜化した。この反動が出て、長いゾーンが買われる可能 性がある。20年債入札は無難に通過するとみている。5年債入札につい ては、利回りが低下しているので波乱要因になるかもしれない」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長

先物3月物144円00銭-144円60銭

10年国債利回り=0.72%-0.78%

「強気材料が目立つが、金利低下は限界的か。期末が徐々に近づく タイミングに当たり、金利低下を追いかけて買い進む展開は想定しづら い。日銀の緩和強化への期待は健在で、米国など海外金利が上昇しても 影響は限定されよう。もっとも、金利低下が進めば戻り売りが出るとみ られ、10年債は0.7%台のレンジでの推移が継続するとみている」

◎三井住友アセット・マネジメントの永見哲シニアファンドマネジャー

先物3月物144円00銭-144円50銭

10年国債利回り=0.73%-0.77%

「長期金利は0.75%挟みの推移を予想する。日銀人事や為替・株価 の動向を見ながらの展開。ただ、誰が総裁になっても、金融緩和の方向 に変化はないだろう。5年債入札ではクーポンが0.1%に引き下げられ ても波乱になるとは思えない。20年債入札も生命保険が投資スタンスを 変える感じではなく、無難な結果になるのではないか」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 . Editors: 山中英典, 崎浜秀磨

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