「何でもあり」中銀総裁が世界的潮流に-ドラギ氏の就任機に

彼らを「何でもあり」のセントラル バンカーと呼ぼう。

先進各国で失業率が高止まりし、経済成長は危機前の半分にとどま る中、各国政府は発言からみて前任者よりも積極的な金融政策立案者を 頼りにし始めている。実際の行動にも期待している。

2011年11月のドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の就任に始まった 世界の中銀の変革がここにきて加速している。カナダ銀行(中銀)のカ ーニー総裁はイングランド銀行(英中銀)の総裁に就任することにな り、日銀は新総裁を迎える。こうした流れが今後さらに進み、バーナン キ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任に、より大胆な行動を取 る人物が起用される可能性もある。

中銀トップの交代は、まひ状態の財政政策を埋め合わせる必要性と 金融政策がなお強力な力を持っているとの見方を反映している。一方 で、投資家は量的緩和のコストと効果をさらに深く熟考しながら、中銀 への行き過ぎた期待を示唆している。

バーナンキ議長の元顧問で現在はシティグループの国際経済担当グ ローバル責任者を務めるネイサン・シーツ氏は、行動派の指名には「経 済が依然として確かな回復を維持しにくい状況にあり、一層の景気刺激 を求める政界からの圧力があること」が反映されていると指摘。「中銀 には方策があるが、大部分はまだ試されていないもので、望ましくない 副作用をもたらす恐れがある」と付け加えた。

市場への影響

中銀の実際の積極性や期待される積極性は、既に市場に影響してい る。ユーロはドラギECB総裁が7月26日にユーロ防衛を誓って以来、 ドルに対して9.5%上昇。10年物スペイン国債利回りは7月24日以来2 ポイント余り低下し5.2%。

安倍晋三氏が首相に就任すればデフレ克服のため日銀の政策に再び 焦点を合わせるとの期待が広がった11月半ば以降、円は対ドルで約15% 下落している。カーニー氏が物価を押し上げるとの見方から英国のイン フレ期待は11年4月以来の高水準近くにある。

スタンダード・ライフ・インベストメンツの世界戦略責任者、アン ドルー・ミリガン氏は、景気刺激策を支持する政策当局者の昇格は債券 から株などの高リスク資産への最近のシフトを促していると述べ、長期 的な物価圧力に対して、インフレ連動債や不動産で資産防衛策を講じる ことを投資家に考えさせる契機となっていると分析した。

役を再定義

ミリガン氏はさらに、「セントラルバンカーたちは自らの役割を再 定義し始めており、インフレ目標から離れ、金融システムの健全性の維 持に向かいつつある」と指摘。「新しい政策当局者は新たなツールを導 入する可能性があり、世界の投資家はそれを素早く理解する必要が出て くるだろう」と語った。

世界の中銀でトップ交代が相次ぐ見通しだ。カーニー氏が英中銀総 裁に就任すると、カナダ中銀総裁が空席となる。オーストラリア準備銀 行(中銀)のスティーブンス総裁の任期は9月に終了する。

主要新興国では、ロシア中銀のイグナチェフ総裁が6月で退任し、 インド中銀のスバラオ総裁は9月で任期満了となる。中国は人民銀行 (中銀)の周小川総裁を早ければ来月にも交代させる方針を示唆してい る。

原題:Draghi-Carney Show Ascent of Whatever-It-Takes Central Bankers(抜粋)

--取材協力:Chris Anstey、Craig Torres、Scott Hamilton、藤岡 徹.

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