円が小幅反落、日銀総裁候補の発言で-G20控え円安けん制も警戒

東京外国為替市場では円が小幅反落 した。次期日銀総裁候補の一人とされる岩田一政元日銀副総裁が100円 程度までの円安は「均衡への回帰」との認識を示したことが手掛かり。 ただ、あすから始まる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議 を前に、円安けん制への警戒も強く、円の下値は限定的となった。

午後4時7分現在のドル・円相場は1ドル=93円64銭前後。午前に は93円14銭まで円高に振れた後、一時93円64銭まで円売りが進んだ。

一方、日本銀行はこの日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維 持を決めた。結果発表直後のドル・円は売り買いが交錯したが、米長期 金利の上昇を背景に再び円がじり安となり、欧州市場に向けては一時93 円71銭を付けた。

ナショナル・オーストラリア銀行の高安佳子市場営業部部長は、 「完全にG20待ちの状態」で、「先進国からは声明が出たが、アジアな ど新興国から円安批判が出てくる可能性もあり、何が出てくるかわから ないので目先は動きづらい」と指摘。半面、日銀に関しては、次期総裁 下での金融緩和への期待は強いと言い、「長期的には100円の方向を見 ている向きが多い」と話した。

ユーロ・円相場は朝方に1ユーロ=125円22銭まで円高に振れた 後、125円97銭まで円売りが進行。その後は125円後半でもみ合う展開と なった。また、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.34ドル半ばでもみ合っ ていたが、欧州市場に向けてはドイツの10-12月期の国内総生産 (GDP)が予想を下回ったこともあり、1.3400ドル付近まで値を切り 下げた。

過大な円高修正

岩田前日銀副総裁は14日、90円から100円程度までは過大な円高修 正の範囲との認識を明らかにした。自民党有志で作る「デフレ・円高解 消を確実にする会」(山本幸三会長)の会合で講演した後、記者団に語 った。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは、今週はG7 (主要7カ国)声明や週末のG20を控えて、日本にネガティブな材料に なるかもしれないとの観測がやや円安の流れを止めるきっかけになって いるが、日銀総裁人事で「より金融緩和を積極的にもしくは大胆な方向 に進めるという想定になれば、円安が加速するというのが市場の見方に なっている」と指摘。そういう意味で、「主力候補の一人である岩田氏 があらためて円安の志向に言及したことは、注目されやすい」と話し た。

日銀は同日開いた金融政策決定会合で現状維持を決定した。宮尾龍 蔵審議委員は実質的なゼロ金利政策について、2%の物価目標の実現が 見通せるようになるまで継続するとの議案を提出したが、8対1の反対 多数で否決された。

一方、内閣府が朝方発表した昨年10-12月の実質GDPは前期比年 率で0.4%減と、3期連続でマイナス成長となった。事前予想はプラ ス0.4%だった。

G20

ロシアのストルチャク財務次官はモスクワで、円は過大評価だった とし、これまでのところ円安は貿易を歪ませるとみるべきではないと述 べた。財務次官は、通貨をめぐる日本の動きは、モスクワで開かれる G20で議論されるとの見通しも示した。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは、G7が12日に発表した声 明は円の現行水準への懸念を示すものではなく、オーバーシュートを回 避するため円下落のペースに歯止めを掛けることを意図していた、とG 7当局者を引用して報じた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作シニア為替・債券 ストラテジストは、「G20に向けて要人発言に対するセンサーが非常に 上がった状態」だとし、円安けん制発言が出た場合、「トレンドが円高 に変わるとは思わないが、急に進みすぎた円安のスピード調整の材料に 使われやすい」と指摘した。

--取材協力:三浦和美、Monami Yui. Editors: 崎浜秀磨, 青木 勝